教えて!世界のRの発音 130ヶ国語で使える発音の習得

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※本ブログは私のYouTube動画のテキスト版です。
 発音が含まれる箇所については
 元の動画を参考にして下さい。

こんにちは!
今日からあなたもマルチリンガル!
理系の言語オタク日向です。

教えて!世界のRの発音 130ヶ国語で使える発音の習得

各言語のRの発音の違いを教えてほしいという視聴者様からのリクエストを頂いたので、
今回は世界のRの発音を徹底比較し、習得方法をご紹介します。

あなたはご存知でしょうか?
全世界のRという文字で表される発音だけで、なんと10種類以上の発音があるということを。

例えば、以下のような言語ではRの発音が同じなものはどれか分かるでしょうか。

中国語、英語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、ドイツ語、フランス語、韓国語、トルコ語、ヒンディー語

ということで、言語オタクの私が全世界のRの発音を徹底調査しました。
理論上はこの動画を見るだけで世界の約130ヶ国語の発音も習得できることになります。

早速、クイズです。

    日本語のラ行音と同じ音が含まれる言語はどれでしょう?
    ※方言は除きます。

  1. 中国語(普通話)
  2. ヒンディー語
  3. フランス語

どれか一つお選び下さい。

正解は「2、ヒンディー語」でした。

実は日本語のラ行音はヒンディー語の発音と一部同じものがあります。
詳しくは動画の後半でご紹介します。

    目次

  1. 世界のRの発音を発音別で確認する
  2. 言語別で確認する
  3. まとめとおまけ

  

その1 世界のRの発音を発音別で確認する

まずはRの発音が世界の言語でどのように発音されるのかを音で確認していきたいと思います。
もちろん、どの言語でも必ず例外は存在するので、前提条件を2つ決めたいと思います。

前提条件1つ目

この動画では「標準な発音」と
「私が実際勉強してみてこれは必要と思った訛りの発音」を中心にご紹介します。

方言などで特にR音の種類が多い言語
英語、ポルトガル語、スウェーデン語、ベトナム語

前提条件2つ目

発音は国際音声記号の内容に沿ってご紹介します。

簡単言えば、外国語に関する教科書で使われる発音記号よりも、
正確に発音を表せる世界標準の発音記号のことです。

「国際音声記号なんて初めて聞いたし、ピンとこうへんわ」
と思ったかたもいるかもしれません。

ご安心ください!どの発音かを区別する都合上登場しますが、
そのため、音声記号やその名称について覚える必要はありません。

以上の前提条件2つを踏まえて、全部で13個の発音をご紹介します。

今回ご紹介する発音
[r] [ɾ] [ɹ] [ɽ] [ʐ] [ɾ̞̊] [ɻ] [ɚ] [ə] [ɐ] [ʁ] [χ] [ʀ]

「嘘やん!13個もあるんやったら、いっぺんに覚えきれへんわ!」という人もいると思うので、私の感覚で大まかに4つのグループに分類してみました。

    世界のRの発音 4つのグループ

  1. 日本語でラ行音に聞こえるもの
  2. 日本語ではジャ行音、シャ行音に聞こえるもの
  3. 日本語では母音に聞こえるもの
  4. 日本語ではガ行音やハ行音に聞こえるもの

  
前置きはここまでにして、実際に発音を見ていきましょう!
私も完璧ではない発音があるので、音声サンプルとともにご紹介します。
  

1、日本語ではラ行音に聞こえるもの

歯茎ふるえ音[r]

主な使用言語
非常に多くの言語のR。イタリア語、スペイン語、カタルーニャ語、ポルトガル語、ルーマニア語、ロシア語、オランダ語、スコットランド英語、ヒンディー語、アラビア語、タイ語、タミル語、インドネシア語、フィンランド語

(日本語ではべらんめい口調として表現されることがあります。)

歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]

主な使用言語
アメリカ英語 弾音化したTやD、イギリス英語 弾音化したR、スペイン語R、ポルトガル語R、カタルーニャ語R,ギリシャ語Ρ(ロー)、アラビア語ر、ヒンディー語र、ネパール語र、韓国語ㄹ、タミル語ர்、トルコ語R、日本語ラ行

歯茎接近音[ɹ]

主な使用言語:英語R、デンマーク語R

そり舌はじき音[ɽ]

主な使用言語:日本語ラ行、ヒンディー語ड़、ネパール語ड ढの異音、タミル語ட்の異音

  
2、日本語ではジャ行音、シャ行音に聞こえるもの

有声そり舌摩擦音[ʐ]

主な使用言語:中国方言訛りの中国語R、ロシア語Ж、ポーランド語Ż

無声歯茎摩擦音[ɾ̞̊]

主な使用言語:トルコ語の語尾のR

  
3、日本語では母音に聞こえるもの

そり舌接近音[ɻ]

主な使用言語:標準中国語(普通话)R,ER 特にㄦ音化、タミル語ழ்

R音性母音[ɚ]

主な使用言語:アメリカ英語 母音+R、標準中国語(普通话)ER ㄦ音化

曖昧母音[ə]

主な使用言語:イギリス英語 母音+R、オランダ語erのときのE、デンマーク語E

中舌狭めの広母音[ɐ]

主な使用言語:ドイツ語 母音+R

  
4、日本語ではガ行音やハ行音に聞こえるもの

口蓋垂摩擦音[ʁ]

主な使用言語
ドイツ語R、フランス語R、デンマーク語R、チュルク語系で主にĞのもの、現代標準アラビア語 غ‎(gh)の異音

無声口蓋垂摩擦音[χ]

主な使用言語
アラビア語خ(kh)、ウェールズ語CH、ドイツ語R,CH、フランス語R、ヨーロッパのスペイン語J

有声口蓋垂ふるえ音[ʀ]

主な使用言語:ドイツ語Rの異音、ベルギーのフランス語R

  
以上、代表的な言語でのRの発音13個を以下の4つのグループに分けてご紹介しました。

    世界のRの発音 4つのグループ

  1. 日本語でラ行音に聞こえるもの
  2. 日本語ではジャ行音、シャ行音に聞こえるもの
  3. 日本語では母音に聞こえるもの
  4. 日本語ではガ行音やハ行音に聞こえるもの

「正直、まとめて比較して聴いてみたら、Rでもなんでもない発音多ない?」と思いませんか?

「同じ文字やったら、他の言語でも同じように発音するんちゃうの?」という誤った思い込みが、多くの外国語学習者を悩ませているのではないかと私は考えています。

その結果、数カ国語勉強している人にとって、Rの発音はゲームで言う初見殺しのポイント・誰しもがハマる罠になっているのではないでしょうか?

    

その2 言語別で確認する

その1では発音別に比較しましたが、
このあとは代表的な言語別にRの発音の習得方法を見ていきましょう。

なぜなら、一つの言語で複数個のRの発音を使っていることがあるからです。

    今回紹介する言語別のRの発音

  1. 多くの言語共通
  2. アメリカ英語
  3. イギリス英語
  4. 中国語(普通话)
  5. ドイツ語
  6. トルコ語
  7. 韓国語
  8. スペイン語
  9. ポルトガル語
  10. フランス語
  11. ヒンディー語
  12. 日本語

多くの言語共通

歯茎ふるえ音[r]

私が知る限り、全世界の非常に多くの言語ではRの発音に歯茎ふるえ音[r]を使います。
言ってしまえば、Rの発音の基本中の基本です。

一般的には巻き舌、音声学ではふるえ音、ボイストレーニングではタングトリルと呼ばれます。

習得の方法については一般的にはルルルルという発音練習がありますが、
この発音の仕組みと全く違うことをしているので非効率です。

実は、この発音の習得の鍵になるのは「いびき」「息の吐き方」になります。
詳細は過去の動画で詳しく解説していますので、そちらを御覧ください。

  

アメリカ英語

英語についてはアメリカ英語とイギリス英語で発音が大きく異なるので、それぞれに分けて説明します。
日本で英語といえば、一般的にはアメリカ英語のことを指します。

そんなアメリカ英語のRの発音について、あなたはご存知でしょうか?
実はアメリカ英語にはRの文字の読み方と、R以外の文字でRっぽい発音をするものがあり、全部で約3種類あります。

    アメリカ英語のRの発音とR以外の文字でRっぽい発音

  1. 歯茎接近音[ɹ]:語頭やR+母音
  2. 歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]:主に母音で挟まれたTやD
  3. R音性母音[ɚ][ɑ˞][ɔ˞]など:母音+R

「R以外の文字でRっぽい発音をするものってなんやねん。」と思うかもしれませんが、一つずつ見ていきましょう!

歯茎接近音[ɹ]:語頭やR+母音

標準的なイギリス英語・標準的なアメリカ英語で使われている発音です。

英語の発音の仕方については私以上に分かりやすく説明している人がいるので
動画の概要欄にあるブログを御覧ください。

[ ɹ ] の発音(英語の R の発音)

  
一方で、あなたはこのRの発音が英語以外のどんな外国語で使われているかご存知でしょうか?

日本では英語が第一外国語として学ばれていることもあり、
世界の他の言語のRの発音とも共通点があるのかなと思いきや、実はそうではありません。

この発音は実質、英語とデンマーク語しか使いません。

もちろん、一部、ポルトガル語の方言やベトナム語の方言で用いられることがありますが、
教科書的な発音や標準的な発音ではないので、聞くことがあるかもしれない程度です。

そのため、あなたが独学で超マイナーな外国語と聞いたこともない地方の方言を勉強しないのであれば、
この発音は実質、英語とデンマーク語だけでしか使わないと思ってもらって大丈夫です。

歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]:主に母音で挟まれたTやD

ルルルルルと聞こえるふるえ音の[r]のル[ɾ]を一回だけ行った発音のことです。
英語では弾音化という現象で見られます。

歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]

「弾音化って言葉初めて聞いたわ。」という人もいると思うので、
簡単な例を見てみましょう。

単語例 弾音化した発音
better [bɛɾɚ]
little [lɪɾɫ̩],[ɫɪɾɫ]
pudding「プリン」 [pʊɾɪŋ]
What is this? [ʍʌɾɪɾɪs]

アメリカ英語の場合は主に母音に挟まれたDやT、TH
先ほど紹介した歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]に変化することがあります。

そう言われてみれば、「そんな発音聞いたことあるわ」と気づいた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

なぜ学校で弾音化について誰も教えてくれなかったのかというと、そもそもの原因として英語ネイティヴ話者はこの発音をDの音と認識しているからです。
「Rっぽい音やのに、なんでDやねん!」とツッコミを入れたくなりますね。

このように弾音化は文字がRではないのに、Rっぽい発音するということもあるので、
英語学習者を悩ませてる原因の一つかもしれませんね。

こういう話を聞くと「弾音化は英語にしかない珍しい現象だ」と思ってしまう人もいそうですが、
実はインド南部の言語でもこれと同様の現象が見られます。

つまり、弾音化は様々な言語で起こりうる現象と言えます。

このような弾音化や英語のネイティヴ発音についてもっと知りたいという方のために
役に立つ書籍とサイトをブログに載せておきます。

聴こえる!話せる!ネイティヴ英語 発音の法則

変幻自在に変化する悪魔の / t /

R音性母音[ɚ][ɑ˞][ɔ˞]など:母音+R

アメリカ英語ではerやurのよう綴り(母音+R)を持つ単語で、母音がR音っぽく発音されます。
これはご存じの方も多いと思います。

発音の習得方法について詳しくはブログに貼り付けた動画をご覧ください。

R-colored vowel

  

イギリス英語

日本ではイギリス英語は学びませんが、ヨーロッパでは英語といえば主にイギリス英語のことです。
すでに紹介した発音についてはさらっとご紹介します。

    イギリス英語のRの発音

  1. 歯茎接近音[ɹ]:語頭やR+母音
  2. 曖昧母音[ə]:母音+R
  3. 歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]:主に母音で挟まれたR
  4. 歯茎ふるえ音[r]:方言

歯茎接近音[ɹ]:語頭やR+母音

アメリカ英語の場合と全く同じです。

曖昧母音[ə]:母音+R

アメリカ英語ではR音性母音[ɚ]となるものがイギリス英語では曖昧母音[ə]になります。

曖昧母音[ə]については小難しい説明をされることが多いですが、感覚的にはゾンビっぽく母音を発音すれば良いと思います。
あえて日本語で表記するとすれば、「ア」に濁点を付けた「ア゙」になるかもしれません。。

特に母音を強く発音する日本語や環太平洋の島国の言語の話者向けにほかのコツをご紹介するなら、
そもそも発音しないつもりでいるほうがうまくいくかもしれません。
というのもイギリス英語では上流階級になるほどこの母音を多用し、さらに母音すら発音しなくなるからです。

簡単に言えば、英語においては母音を発音せず子音だけで発音し、相手にとって聞き取りづらくなるほうが上品に聞こえるわけです。
その点は日本語とは正反対と言えるかもしれません。

歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]:主に母音で挟まれたR

アメリカ英語では主に母音で挟まれたTやDが弾音化したときに使われますが、イギリス英語ではそれはあまり起こらず、
例えば、for a[fɔɾa]のように語尾のr+母音のような場合に使われることがあります。

歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]

歯茎ふるえ音[r]:方言

すでに紹介した全世界の非常に多くの言語で基本中の基本とされる発音です。

標準的な英語では使われませんが、かつてのイギリス下層階級の訛りとして有名なコックニーや、スコットランド英語の場合は歯茎ふるえ音[r]で発音します。

現在は歯茎接近音[ɹ]が標準になっていますが、元々英語ではこの発音が主流だったため、その名残がイギリスの各方言に特に残っているという状態です。

こういう訛りを持つ話者はar,er,orの綴りを[ar],[er],[or]と発音する傾向があり、
スペイン語訛りの英語やロシア語訛りの英語、インド英語でも同じ現象が見られます。

English phonology

  

中国語(普通话)

この動画では中国語の標準語、いわゆる「普通话」を中国語として表現しますので、ご了承ください。
中国語のRについてよく使う発音が2種類、方言の異音が1種類あります。

    中国語のRの発音

  1. そり舌接近音[ɻ]:語頭のR
  2. R音性母音[ɚ][u˞]:er,儿化
  3. 有声そり舌摩擦音[ʐ]:方言

先にどんなときに使われる発音かを紹介し、その次に習得方法について説明します。

そり舌接近音[ɻ]:語頭のR

語頭のrで使う発音です。音的には英語のRに近く母音のように聞こえます。

R音性母音[ɚ][u˞]:er,儿化

主に中国の東北地方で多用される発音で、中国語(普通话)のerや儿化で使われます。

基本的にはアメリカ英語の母音+Rの発音と同じものと思ってもらって大丈夫です。
詳しくはブログに貼り付けたサイトをご覧ください。

Erhua

有声そり舌摩擦音[ʐ]:方言

特に中国の地方の方言を母語としている話者の場合はこの音を使う可能性があります。
標準的なそり舌接近音[ɻ]とは違い、ジーのような音に聞こえる発音です。

発音的には中国語のSh[ʂ]を濁らせた発音です。

もしかしたらヨーロッパに日本の名前を「Riben」ではなく、
「Zipang」と伝えた人もそういった訛りの持ち主だったのかもしれません。

中国語の教科書には載っていない発音ですが、
中国の現地の方とよく会話される方だとこの音に出くわすことが増えるのではないでしょうか?

しかしながら、どこの地方の訛りだとこのような発音をする傾向にあるのか
私も詳しくはないのでもしご存じの方がいればコメントいただければ助かります。

[ɻ]と[ʐ]の習得のコツ

そり舌接近音[ɻ]と方言で使われる[ʐ]の簡単な習得の方法をご紹介します。

    [ɻ]と[ʐ]の習得のコツ

  1. [ɻ]:日本語のヤと英語のRの中間音を発音する
  2. [ʐ]:日本語のヒと英語のShの中間音を濁らせて発音する

「そんなやり方でほんまに合ってるん?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか?

下図をご覧ください。国際音声記号の図に沿って、
中国語のRの発音やそれに近い発音を当てはめた図です。

後部歯茎音 後部歯茎音 硬口蓋音
[ʃ]
英語のSh
[ʒ]
フランス語のJ
[ʂ]
中国語のSh
[ʐ]
中国語のR
Zh様に聞こえる
[ç]
日本語のヒ
[ʝ]
ドイツ語のJ
[ɹ]
英語のR
[ɻ]
中国語のR
母音様に聞こえる
[j]
日本語のヤ行

こう見てみると、[ɻ]と[ʐ]は
日本語の発音とすでにご紹介した英語の発音の中間くらいに位置していたり、それらに近い発音があったりします。

そのため、理論的には以下の方法で発音できることになります。

    [ɻ]と[ʐ]の習得のコツ

  1. [ɻ]:日本語のヤと英語のRの中間音を発音する
  2. [ʐ]:日本語のヒと英語のShの中間音を濁らせて発音する

詳しい練習の方法や音声のサンプル、日本語話者には同じに聞こえるZh[ʈʂ]やJ[t͡ɕ]との発音の違いは
動画概要欄にあるブログに記載しましたのでそちらを御覧ください。

———-以下動画内で話していないこと ———-

◯[ɻ]:日本語のヤと英語のRの中間音を発音する
文字通り、日本語のヤ[j]と英語のR[ɹ]を発音します。
中間音の舌の構えのまま、唇を横に開き気味で、Ribenと発音してみると良いと思います。

◯[ʐ]:日本語のヒと英語のShの中間音を濁らせて発音する
ヒの口の構えのままシューと発音すると、中国語のSh[ʂ]になります。
[ʂ]と[ʐ]は無声と有声(カとガ)の関係なので、[ʂ]を濁らせれば、[ʐ]の音になります。

すぐにはできないかもしれませんが、理論的にはこれでネイティヴ発音になるので、
そういう発想で練習してみてください。

  

Zhっぽく聞こえるR[ʐ]を習得すると、
「そう言えば、ZhやJとの違いは何?」と思う方もいるかもしれません。

それについて軽く紹介しておきます。

ピンイン・発音 備考
Zhっぽく聞こえるR[ʐ]
日本語にはない。音がこもったジー
Zh[ʈʂ]
日本語のチ[tɕ]に近い
J[t͡ɕ]
日本語にない発音
日本語のヒ[ç]のように
舌先を下の歯につける感じで日本語のチー

「ちゃんと発音仕分けれてるか自分では自信ないわー」という方は
Googleの音声認識で、読み上げた単語が正しく認識されるか確かめると良いでしょう。

———-以上、動画内で話していないこと ———-

参考文献:Standard Chinese phonology

  

ドイツ語

細かく分ければ5種類以上ありますが、
これからご紹介する3種類の発音を抑えておけば大丈夫です。

    ドイツ語のRの発音

  1. いびき音([ʁ][χ][ʀ]):R+母音
  2. 中舌狭めの広母音[ɐ]:er
  3. 歯茎ふるえ音[r]:方言・訛り

いびき音([ʁ][χ][ʀ]):R+母音

ドイツ語のRとして、最も広く使われているは有声口蓋垂摩擦音[ʁ]です。R+母音の場合に発音されます。
この発音の習得が難しいという人がいますが、単にいびきの音です。

後でご紹介するフランス語とも基本的には同じ発音です。

その他いびき音で、ドイツ語で使われるものとして以下の3種類があります。

    ドイツ語で使われるいびき系のR 3種類

  1. [ʁ]:濁ったいびき、アラビア語ではغ(gh)と表記
  2. [χ]:乾いたいびき、アラビア語ではخ(kh)と表記
  3. [ʀ]:いびきと巻き舌の中間音

単語や話者によって発音が多少変わりますが、いびきであることは変わりませんので、
多少間違えてもこの中の発音なら受け入れてもらえるでしょう。

習得方法について過去の動画で詳しく解説しています。

中舌狭めの広母音[ɐ]:er

er,arのような母音+Rの綴りの場合に使われます。

私も正しく発音できる自信はありませんが、日本語のア[ä]と[ɜ]の中間音です。
似ている発音を何種類か紹介しますので、聴きながら真似してみてください。

母音の図:Vowel

歯茎ふるえ音[r]:方言・訛り

すでに紹介したRの基本中の基本の発音です。
ドイツ南部のバイエルン、スイスやオーストリアのドイツ語で共通して見られる発音のようです。

しかし、北部でも特に高齢者が使うことがあったり、基本は口蓋垂摩擦音[ʁ]を使う人であっても、
歯茎ふるえ音[r]を混ぜたり、それの中間音である[ʀ]を使う場合もあります。

日本語ではぜんぜん違う音に聞こますが、発音の仕方としてはいびきも巻き舌も仕組みが似ているので、
ドイツ語では同じ音として認識しています。

細かい仕組みについては巻き舌の解説動画で説明しています。

Standard German phonology

  
これ以降の言語のRの発音は繰り返しの説明も多いので、サラッと流しながらご紹介します。
復習がてら興味のあるところだけ聞いて貰えればと思います。

さらっと説明する言語
トルコ語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、ヒンディー語、日本語

  

トルコ語

歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]:語尾のR以外

アメリカ英語でTやDが弾音化した発音と同じです。詳しくはアメリカ英語の説明をご覧ください。

歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]

無声歯茎摩擦音[ɾ̞̊]:語尾のR

bir「一つ」のようなrが語尾にある単語ではシュのような音になります。

「なんでそんな発音になんねん!」と思うかもしれませんが、
音的には中国語にあるそり舌接近音[ɻ]と有声そり舌摩擦音[ʐ]の関係に似ていると思います。

Turkish phonology

  

韓国語

歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]

アメリカ英語でTやDが弾音化した発音と同じです。詳しくはアメリカ英語の説明をご覧ください。

歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]

韓国語はㄹという文字の読み方は後ろに続く発音によって3~4種類に変わりますが、
基本的には後に子音が続くときは[l]に、母音が続くときは[ɾ]もしくは[n]になります。

Korean phonology

  

スペイン語

歯茎ふるえ音[r]:語頭、RR、l,n,sの子音+R

すでに紹介した全世界の非常に多くの言語で基本中の基本とされる発音です。
主に語頭、RRの綴りと、l,n,s+rの子音+Rの場合に使われます。

歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]:主にRのとき

アメリカ英語でTやDが弾音化した発音と同じです。詳しくはアメリカ英語の説明をご覧ください。

歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]

Spanish phonology

ポルトガル語

ポルトガル語のRの発音は方言が多いため種類が非常に多いです。

ポルトガル語で見られるRの発音
[r],[ɾ],[ʁ],[ʀ],[ɽ],[ɻ],[ɹ],[h],[χ],[x]

今回ご紹介した発音を全て使うと言っても過言ではありません。
ここでは教科書でよく紹介される発音に絞って紹介します。

歯茎ふるえ音[r]

すでに紹介した全世界の非常に多くの言語で基本中の基本とされる発音です。
教科書的にはこの発音で紹介される場合が多いですが、スペイン語とは違い、実際は異なる場合が多いです。

歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]

アメリカ英語でTやDが弾音化した発音と同じです。詳しくはアメリカ英語の説明をご覧ください。

歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]

有声口蓋垂摩擦音[ʁ]

ブラジルのポルトガル語では語頭のRや、RRの発音で使われることが多いです。
発音的にはスペイン語のJやドイツ語の語頭のRと同じものです。

ポルトガル語は方言によって発音が大きく異なりますので、地方別の特徴を知りたい場合はブログにあるサイトをご覧ください。

Portuguese phonology

  

フランス語

フランス語のRは既にご紹介したドイツ語やポルトガル語でも使われる発音です。

    フランス語のRの発音

  1. 有声口蓋垂摩擦音[ʁ]:濁ったいびき、後に母音が続くとき
  2. 無声口蓋垂摩擦音[χ]:乾いたいびき、後に子音が続くとき

フランス語の美しいRなんて言う人がいますが、こちらも単なるいびき音です。
歴史的にドイツ語系の言語の影響を受けたからだと考えられており、フランス語の文法にもドイツ語的な特徴があります。

詳しくはドイツ語のRの発音の説明をご覧ください。

有声口蓋垂摩擦音[ʁ]:濁ったいびき、主にR+母音

無声口蓋垂摩擦音[χ]:乾いたいびき、主に子音+R

ちなみに北アフリカのアラブ圏の人は外国語としてフランス語を学ぶことが多く、
フランス語のRの発音も初めからうまく発音できる人が多いのですが、
それはアラビア語にغ(gh),خ(kh)という全く同じ発音があるからかもしれません。

French phonology

ヒンディー語

「ヒンディー語なんて一生使わへんし、興味ないわー」と思っていませんか?
ヒンディー語が面白い点が2つあります。

それはこれまで紹介した発音の多くをヒンディー語の文字では別の音として異なる文字で区別できる点と、
さらにその中に日本語のラ行音と同じ発音が含まれている点です。

    ヒンディー語のR系の発音+α

  1. र (r) [r]:歯茎ふるえ音、単語の最初の位置と音節の最後の位置で発音
  2. र (r) [ɾ]:上記と文字は同じ。アメリカ英語の弾音化と同じ
  3. ड़ (ṛ) [ɽ]:日本語のラ行音と同じ
  4. ढ़ (ṛh)[ɽʱ]:日本語のラ行音を有気音にしたもの
  5. ग़ (ġ) [ɣ]:フランス語やドイツ語のRに近い

既に紹介した発音だったり、似ている発音が多いので細かい説明は割愛します。
有気音という発音については過去の動画でご紹介していますので、そちらを御覧ください。

Hindustani phonology

  

日本語

最後の発音は日本語のラ行の発音です。
DやLのような記号で表す場合もありますが、世界的によく見られるのは次の2種類です。

    日本語のラ行の発音

  1. そり舌はじき音[ɽ]:ヒンディー語のड़と同じ
  2. 歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]:アメリカ英語でTやDが弾音化した発音と同じ

そり舌はじき音[ɽ]

これが日本語のラ行音で最も使われている発音だと私は感じます。
先程ご紹介したヒンディー語やネパール語、タミル語でも使われる発音です。

有名な言語の方言の発音で一部使われることもありますが、
基本的は「日本ではそんな言語、聞いたことないわ!」というマニアックな言語でしか使われていません。

もしあなたが、私のように100ヶ国語習得を目指して勉強することがないのであれば、
日本語とインド系の言語で特有の発音と思ってもらっていいでしょう。

外国人の方もこの動画をご覧になることがあるので、
発音のコツをご紹介すると、LとDの中間音で発音すればよいかもしれません。

参考動画になる動画をブログに掲載しておきます。

もちろん、私は日本語教師ではありませんので、
どなたかより良い説明をご存知でしたら、コメントいただければと思います。

歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]

これまで何度も登場している発音で、アメリカ英語でTやDが弾音化した発音と同じです。

歯茎はじき音・歯茎たたき音[ɾ]

とは言え、英語のbetterを「ベラー」と日本語読みしても
英語のネイティヴ発音になるとは限りません。

というのも日本語のラ行についてそういう発音をする場合がある、発音する人がいるというだけで、
特別な訓練をしていなければ、意図的に発音を仕分けられないからです。

その例として、音声学者でもない限り、
[soɽa]と[soɾa]が違う子音だとしても聞き分けられないのではないでしょうか?

さらにどの発音のときにアメリカ英語の弾音化と同じ発音になるのか、
日本語のどんな方言の人ならその発音になるのかデータが揃っているわけではありません。

なので、英語のbetterを日本語読みしたからと言って、ネイティヴ発音になるとは限りませんので、ご注意ください。

Japanese phonology

  

まとめとおまけ

今回はぜんぜん違う世界のRの発音についてご紹介しました。
簡単におさらいしてみると、以下のように世界のRの発音は大きく分けて4グループがありました。

    世界のRの発音 4つのグループ

  1. 日本語でラ行音に聞こえるもの
  2. 日本語ではジャ行音、シャ行音に聞こえるもの
  3. 日本語では母音に聞こえるもの
  4. 日本語ではガ行音やハ行音に聞こえるもの

もちろん、私は音声学者でも言語学者でもありませんし、
すべての言語のネイティヴ発音を極めたわけではありませんので、
細かい点は違うところもあるかもしれません。

しかしながら、何十ヶ国語を勉強した私なりの経験と
発音に関するデータを元に少なくともこの発音さえ抑えておけば、
世界の数百ヶ国語で聴き取ってもらいやすいと思われるポイントをご紹介しました。

私自身、世界のRの発音には5年近く悩まされており、今回リクエストも頂いたので、
ありとあらゆる情報をなるべく分かりやすく整理したつもりです。

私の経験があなたの外国語学習のお役に立ったなら幸いです。

  

本編は以上ですが、おまけ話をしたいと思います。

Rの発音に関してご紹介すると、日本語のラ行についてよくある疑問として
「日本語のラ行音の発音はアルファベットのRとL、どっちが近いねん!」
という疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

特に日本語ネイティヴには英語のRとLが同じに聞こえるのは説明するまでもありませんよね。

これについて私なりの答えをお伝えすると、
日本語のラ行音はRとLのどちらの文字でも表せない発音です。

ここまで見てくれた人なら理解いただけるかもしれませんが、
言語によってRの発音は大きく違います。

一方、Lの発音について今回は紹介していませんが、
タミル語を除けば、Lの発音については各言語で大きな違いがありません。

そのため、フランス語やドイツ語であれば、いびき音のRよりLのほうが日本語に近いかもしれませんし、
アメリカ英語で一番近い発音は強いて言うなら、Dになるかもしれません。

もちろん、そういった表記は一般的なものではないので、正しく読んでもらえる保証はありません。
そもそも各言語の中で外国語である日本語のラ行をどう表記するのかという絶対的な決まりがあるわけではありませんからね。

「ならどない表記すればええねん!」と思うかもしれませんが、
単純にネイティブ話者に発音を聴いてもらって、彼らが認識した文字に合わせておけば間違いないと思います。

大切なことは「日本語のラ行音の発音はアルファベットのRとL、どっちが近いのか?」という絶対的な答えを求めるのではなく、どう表記すれば相手に理解してもらいやすいのか様々な視点から考え続けることだと思います。

外国語の学習ではそういった様々な視点から見る力が養えるのではないでしょうか?

  

最後にチャンネルのご紹介です。
私のチャンネルのキャッチフレーズは
「今日からあなたもマルチリンガル」です。

今回のようにネイティヴ発音やマルチリンガルになりたいという方に向けて、
学術的な内容を含めつつも、なるべく初心者の人にも分かるように
効果的な外国語学習のコツや習得術をご紹介しています。

そして私の夢は次の2つです。

「誰もがマルチリンガルになれる!」
ということを全人類の常識にすること、

「誰もがマルチリンガルになれる」
そんな場を作ることです。

もしあなたがマルチリンガルになるための手法をもっと知りたいと思ったら、
または私の夢に賛同いただけたら、チャンネル登録・高評価をお願いします。

では、さようなら

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参考文献

Wikipedia(英語)