巻き舌R[r],Tongue Trill 発音のコツ(YouTube動画の復習用)
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※本ブログは私のYouTube動画のテキスト版です。
発音が含まれる箇所については
元の動画を参考にして下さい。
こんにちは!
今日からあなたもマルチリンガル!
理系の言語オタク日向です。
巻き舌R[r],Tongue Trill 発音のコツ
あなたは巻き舌と呼ばれる発音はできるでしょうか?
この発音はこちらにあるような
イタリア語やロシア語のような
外国語のネイティヴ発音で必須とされています。
英語の一部方言、イタリア語、スペイン語、
ロシア語、ヒンディー語、インドネシア語、
アラビア語、タイ語、日本語のべらんめえ口調
また巻き舌は声楽やボイストレーニングでは
タングトリルという名称で呼ばれます。
歌手、アナウンサー、俳優のような職業であれば、
ボイストレーニングの一環として、
巻き舌の発音を習得したほうが良いと言われるそうです。
しかし、この発音の習得方法について調べてみると
説明が漠然としていたり、感覚的な説明が多く、
「結論、地道にルルルルルと練習しましょう!というアドバイスしかないやん!」
と思ったことはありませんか?
そのため、何ヶ月も、何年も練習しても結果が出ないせいで、
最終的に諦めてしまったという人もいるのではないでしょうか?
巻き舌を習得する際にルルルルルと
地道に練習するのは全く以て非効率です。
なぜなら巻き舌[r]の発音の仕組みと
全く違うことをしているからです。
「なら、どないすればええねん!」
と思う人もいるかと思います。
実は息の吐き方といびきを組み合わせることで、
巻き舌は短期間で習得できます。
今回は言語オタクの私が
こちらあるような様々な言語と様々な分野を跨いで
巻き舌R[r],Tongue Trillの習得法を徹底調査しましたので、ご紹介いたします。
英語、イタリア語、スペイン語、ロシア語、アラビア語など
早速ですが、
皆さんがこの巻き舌R[r]の発音を理解するために
簡単な実験とクイズをします。
こちらに両端に穴の空いたビニール袋とドライヤーがあります。
この袋にドライヤーで風を通してみると、
バタバタと音が鳴るかと思います。
![](https://language-geek.com/wp-content/uploads/2021/01/bbe4cbf5b02593c1d08f5aa01e3a4370-1024x576.jpg)
では、クイズです。
この音はどのようにして鳴っているのでしょうか?
1、ビニール袋自体が自分の筋肉で動いて、音が出ている
2、ドライヤーの風で袋が動いて音が出ている
どちらか一つお選びください。
正解は「2、ドライヤーの風で袋が動いて音が出ている」でした。
この答えこそ巻き舌を習得するためのコツです。
今回も言語オタクの私と一緒に、巻き舌を習得することで、
マルチリンガルになるための第一歩を踏み出しましょう!
こちらが今回の目次です。
- その1 誤った俗説と新常識
- その2 ガラスを曇らせるような息の吐き方といびきで習得する
- その3 英語ネイティヴ向けの手法2種類
- その4 発音練習と失敗例の紹介
目次
今回の説明では音声学やボイストレーニングで使われるような
小難しい専門用語はなるべく使いません。
その代わり、前半で発音の仕組みを平易な表現で理解してもらったあとに
後半で具体的な手法、最後に失敗例を交えた発音練習という流れでお話します。
その1 誤った俗説と新常識
巻き舌に関する習得法を各言語で調べてみると、
多くの俗説が間違っているもしくは非効率ということが分かりました。
こちらがそういった例3つです。
- ルルルルルと発音練習をする
- 舌をリラックスさせる。舌が硬い。
- すべて遺伝的な疾患のせいでできない!
誤った俗説、非効率な手法の例
こういった俗説が何故間違っているのか?
新常識や発音のコツとともにご紹介します。
誤った俗説、非効率な手法1つ目
ルルルルルと発音練習をする
そもそも巻き舌R[r]は
日本語のル[ɺɯ]([ɾɯ][ɽɯ]) や英語のr[ɹ]とは
音が鳴る仕組みが全く違います。
日本語のル[ɺɯ]は
歯茎のほうに舌を一度だけ当てて音を出しています。
一方、巻き舌R[r]は
日本語のル[ɺɯ]の連続版ではありません。
言い換えると、巻き舌は舌の筋肉を高速で動かして、発音しているのではありません。
冒頭のクイズで実演したドライヤーとビニール袋を使って音を出した実験のように
舌と歯茎の間を触れるか振れないかの距離にして
その隙間に強い息を吐くことで、舌を振動させ、音を出しています。
簡単言えば、日本語のル[ɺɯ]は
主に筋肉を動かして音を出すのが基本であり、
一方、巻き舌R[r]は息を吐くことが基本というわけです。
「いやいや、息を出すのが大切とかそんなこと言われても信じられへん」
という人もいるのではないでしょうか?
このティッシュペーパーを用いて、
日本語のル[ɺɯ]と巻き舌R[r]の
息の吐き方の違いを確認してみましょう。
まず日本語の「らりるれろ」[ɺa ɺʲi ɺɯ ɺe ɺo]。
こちらはティッシュペーパーが動きませんね。
次に巻き舌の[ra ri ru re ro]
僅かですが、日本語の「らりるれろ」
と比べるとティッシュペーパーが動きます。
「僅かな違いすぎてまだ信じられへん」という人もいると思うので、
逆に息を強く吐いて日本語の「らりるれろ」、
息を吐かず巻き舌R[r]を発音してみます。
息を強めに吐いて、
日本語の「らりるれろ」[ɺa ɺʲi ɺɯ ɺe ɺo]を発音すると、
このように不自然な日本語の発音になりますね。
今度は息を吐かずに巻き舌R[r]をすると、
このように音が出ず難しいです。
もちろん、
巻き舌については一度習得すれば、
あまり息を吐かずに発音できるようになります。
しかし、このように実験することで、
息の吐き方が巻き舌の発音に必要だということ、
一方、従来のルルルルルという発音練習は非効率だということが
ご理解いただけたのではないでしょうか?
誤った俗説、非効率な手法2つ目
舌をリラックスさせる。舌が硬い。
巻き舌をするときは舌をリラックスさせるように説明されることがあります。
ただ巻き舌が出来ない人からすると
「舌をリラックスって何やねん!
その説明では心がリラックスせんわ。」
とツッコミたくなるかもしれません。
先程ご紹介したように巻き舌Rの発音は
舌の筋肉が特殊な動きをするというわけではありません。
息の出し方がポイントなので、必ずしも
舌のリラックスとかストレッチはしなくても良いかと思います。
ほかにも「舌が硬い場合は巻き舌ができない」という説明を見かけます。
そもそも何をもって自分の舌が硬いのか?
判断すればよいのでしょうか?
少し話は逸れますが、理系出身の私としては
単に「舌が硬い」という表現には
客観的な基準がないので好きではありません。
例えば、「一分間30回以上、舌を上下に動かすことができない場合は舌が硬い」というような
客観的な基準がないと、自分の舌が硬いのかどうか判断できないのではないでしょうか?
話を戻しますが、
舌をリラックスさせるとか、舌が硬いというのは
巻き舌の習得には関係ないという話でした。
誤った俗説、非効率な手法3つ目
すべて遺伝的な疾患のせいでできない!
最後の俗説です。
疾患のせいで発音できない人がいるという話です。
確かに疾患により、統計的にこの発音が難しいという人は2%存在するようです。
しかし、それ以外の98%の人は発音が可能です。
つまり、ほぼ全人類できるというわけです。
「でもでも私は例外の2%かもしれへんし」
と思っている方もいるのではないでしょうか?
そもそもこの発音が難しいとされる疾患、
舌小帯短縮症は
こちらの画像のように舌を出したときに舌の先の形が違います。
そして、その場合は巻き舌だけでなく、
ほかの発音もうまくできない場合があります。
幼いときより、舌が前に出せないので、
アイスクリームが舐められないという場合もあるそうです。
あなたの舌はどうでしょうか?
もしそのような症状や事象がないのであれば、
あなたは98%の人のごくごく一般的な人です。
今回練習さえすれば、発音できるようになります。
一方、2%の疾患がある人だったとしても、
発音が難しいというだけで発音できる場合もあります。
また日本では手術で保険適用で治療することも可能のようです。
歌手や芸能人の方で治療をされたという方もいますので、
職業的に必要な場合、どうしても気になる場合は
治療を検討してみてはどうでしょうか?
舌小帯短縮症について|小児外科外来|小児科
その後、今回ご紹介する習得法を実践してもらえれば、
疾患を持つ2%の人でも発音できるようになると思います。
以上が「その1 誤った俗説と新常識」でした。
次は具体的にどうやったら、
巻き舌の習得の近道になるのか?
全世界の手法を厳選し、私自身の改良を加えた3種類をご紹介します。
その2 ガラスを曇らせるような息の吐き方といびきで習得する
ここでは発音を扱う音声学と
ボイストレーニングの手法を組み合わせた新手法をご紹介します。
でも専門用語を知らなくても大丈夫です。
なるべく簡単な表現でご説明します。
まず、皆様に覚えて欲しいことは
巻き舌の習得のコツは、
息の吐き方といびきです。
不思議に思うかもしれませんが、
あなたが習得したい巻き舌は
いびきに近い発音です。
習得方法の概要を説明しますと、
いびきをかく時に舌の根元が振動しますので、
その振動を徐々に舌先に移動させれば
巻き舌を発音できるようになるというものです。
そこで多くの方が失敗するのは
息を吐く量が少ないことです。
「そんな説明だけではどう練習すればええのか分からへんわ!」
と思う人もいると思います。
こちらの2つのステップに分けてご説明します。
- ステップ1 ガラスを曇らせるように息を吐く
- ステップ2 なぜいびきが巻き舌と近いのか?
巻き舌を習得するためのステップ
ステップ1 ガラスを曇らせるように息を吐く
その1で、日本語のル[ɺɯ]と巻き舌R[r]の違いは、
息の吐き方にあると、ティッシュペーパーを用いた実験でご紹介しましたね。
そのため、まずは巻き舌を出すための息の吐き方を練習しましょう。
- ガラスを曇らせるハー[xa]
- 寒いときに手を温めるときのハー[xa]
- 中国語のha[xa]やロシア語のхa[xa]
- 中国語・タイ語・英語の有気音[ʰ]
巻き舌をするときの息の吐き方4種類
どのやり方でも大きくは変わりませんので、
自分ができそうなやり方を試してみてください。
語学が得意ではないという人には
1つ目の「ガラスを曇らせるハー[xa]」と
2つ目の「寒いときに手を温めるときのハー[xa]」がオススメです。
2つ目までは誰でもできるとは思いますが、
念のため、手本をお見せします。
ガラスを曇らせるハー[xa]
寒いときに手を温めるときのハー[xa]
そのやり方でできるだけ長く息を吐けるようにしましょう。
目安としては4秒くらいです。
[xa:](4秒間)
では次は皆さんも一緒にやってみましょう。
寒いときに手を温めるときのハー[xa]
ガラスを曇らせるハー[xa]
[xa:](4秒間)
実はこの息の吐き方ができれば、
こちらの外国語のネイティヴ発音も習得したということになります。
ドイツ語:ch オランダ語:g, ch
ロシア語:х ポーランド語:h, ch ギリシャ語:χ
中国語:h アラビア語:خ
逆に言えば、
こちらの外国語でネイティヴ発音ができる人は
各言語の文字通り、[xa]と発音すればよいということになります。
これが3つ目のやり方ですね。
ちなみに音声学ではこの発音は
「無声軟口蓋摩擦音」という名称です。
気になる人はその用語で検索できます。
無声軟口蓋摩擦音
最後に息の吐き方4つ目はサラッと行きます。
有気音と呼ばれる発音の息の出し方を参考にするのもよいかと思います。
私がすでに出している動画「タイ語の有気音と無気音」で
詳しくご紹介していますので、そちらを御覧ください。
ステップ1で息の吐き方を理解したところで、
次はなぜいびきが巻き舌と近いのか?を理解しましょう。
ステップ2 なぜいびきが巻き舌と近いのか?
「いびきが巻き舌に近い発音っていう根拠はどこにあんねん?」
と思った人もいるのではないでしょうか?
実は発音を扱う学問である音声学では、
巻き舌といびきは
発音の仕組みがほとんど同じとされています。
こちらの音声学の図をご覧下さい。
赤線で囲ったところに
巻き舌といびき、そしてボイストレーニングで使われるリップロールという発音が該当します。
![](https://language-geek.com/wp-content/uploads/2020/12/1ddecd1cccc987d3aa2bf53a52c34661-1024x454.png)
それぞれ発音してみると、
巻き舌
いびき
リップロール
この図を参考にすると、巻き舌に近いのは、いびきとリップロールの2つです。
そして、巻き舌と同じく舌で発音を行うのはいびきとなります。
そもそも巻き舌ができない人からすると、
口の中で何が起こっているのかすら分からないので、
まずは一番近い発音、いびきで感じを掴んでもらおうというわけです。
では、次にあなたはいびきをかくことができるでしょうか?
乾いたいびきより、できれば汚いいびきのほうがいいです。
こちらの図でいうと、いびきは
口蓋垂と呼ばれる3の場所を狭くすることで発音できます。
発音すると、舌の根元が振動します。
ちなみにいびきができれば、
フランス語R、ドイツ語R、アラビア語GHなどの
ネイティヴ発音も習得したということになります。
私がすでに出している「フランス語のRの発音」でもご紹介しています。
ここまでの内容で息の吐き方、いびきができるようになったら
こちらの2つのステップを完了したことになります。
- ステップ1 ガラスを曇らせるように息を吐く
- ステップ2 なぜいびきが巻き舌と近いのか?
巻き舌を習得するためのステップ
では皆様お待ちかねの巻き舌の発音練習をしてみましょう。
一度、私がお手本を見せますので、それに続けて皆さんも練習してみましょう。
ガラスを曇らせるように息を吐く[xa:](4秒間)
きちんと発音できている分からないという人は
実際にガラスに向かって、息を吐いて、
半径10センチくらい、もしくは顔と同じくらいの大きさまで曇らせてください。
長く息を吐けないという人は腹式呼吸を意識してください。
次はあなたの番です。ではどうぞ!
すばらしい!
次にいびきをかいて、
舌の根元が振動しているのを感じてください。
いびきはなるべく汚いいびきの方が振動します。
いびき[ʁa:]
次はあなたの番です。ではどうぞ!
すばらしい!
次はいびきと息の吐き方を同時にもしくは交互に行うイメージで発音します。
ティッシュペーパーを揺らせるくらい前方に息も吐き続けましょう。
次はあなたの番です。ではどうぞ!
すばらしい!
最後に舌先の位置の調整し、
巻き舌になる位置を探します。[ra:]
次はあなたの番です。ではどうぞ!
すばらしい!
もちろん、今すぐにできなくても構いません。
あとで失敗例を交えて詳しく練習しますので、ご安心ください。
以上が「その2 ガラスを曇らせるような息の吐き方といびきで習得する」でした。
その3 英語ができる方向けの手法2種類
こちらは英語ネイティヴ向けの手法となります。
サラッと説明しますが、betterやthroughが発音できない場合は
発音練習まで飛ばしてもらっても構いません。
手法1 弾音化[ɾ]したtやdを連続して発音する
アメリカ英語やカナダ英語では母音に挟まれたT音やD音がR音化します。
一般的には弾音化と呼ばれ、アメリカ英語話者はDの音として認識します。
例えばこのように発音が変化します。
- better [bɛtɚ]→[bɛɾɚ]「したほうがよい」
- water [wɔtɚ]→[wɔɾɚ]「水」
- pudding [pʊdɪŋ]→[pʊɾɪŋ]「プリン」
- What is this? [wʌt ɪs ðɪs]→[wʌɾɪɾɪz]「これ何?」
アメリカ英語弾音化の例
better [bɛɾɚ]
water [wɔɾɚ]
pudding [pʊɾɪŋ]
日本の学校教育では弾音化について教わらないので、
リスニングで聴き取れないという悩みの原因になっている発音ですね。
puddingが日本語でプリンとなったのもこれが原因かもしれません。
ちなみに音声学の記号ではrの端っこがないこの記号[ɾ]を使います。
ぱっと見では分かりにくいので覚える必要はありませんが、
今回は説明のために使います。
有声歯・歯茎たたき音およびはじき音[ɾ]
もしこの発音ができる人は
例えばbetterの[ɾ]だけを連続して発音して、
[ɾɾɾɾɾ]から[r]に近づけるように練習してみてください。
手法2 throughで練習する
手法1はアメリカ英語やカナダ英語の場合でしたが、
今度はイギリス英語ネイティヴでもできる方法です。
through[θɾ̪̊ʊu]と発音するときに
これまでご紹介したコツを意識すると
r[r]と発音しやすいかと思います。
というのもth[θ]から直後のr[ɹ]の発音に移るときに
自然と手法1と同じ弾音化した発音[ɾ]に変化しやすいからです。
あとは同じように[θɾ θɾ θɾ]と練習して、巻き舌[r]に近づけるだけです。
まぁ、英語ネイティヴではない人には非常に難しい手法と思うので、
次の発音練習をしてみながら、習得してみましょう。
その4 発音練習と失敗例の紹介
最後に発音練習です。
失敗する例やここまでで紹介できなかったポイントもご紹介しつつ、
私と一緒に練習をしてみましょう!
練習する際のコツはこちらのとおりです。
- 日本語のル[ɺɯ]や英語のr[ɹ]は意識しない。全くの別物
- ガラスを曇らせるように息を吐く
- いびきの振動を感じる
- 舌の位置の調整し、振動を舌先に持っていく
巻き舌R[r],Tongue Trill 発音のコツ
発音練習のために
ティッシュペーパーを1枚だけご用意ください。
鏡があれば、あとで鏡の前で練習されるのも良いかと思います。
冒頭のドライヤーと両端に穴が空いている袋に風を通す実験のように
袋がバタバタと音がなる丁度いい隙間を作って、
そこに風を送り続けるというイメージで発音練習をしましょう。
まず私がお手本を見せますので、それに続いて発音しましょう。
ガラスを曇らせるように息を吐く[xa:](4秒間)
どうぞ!
次にいびきをかいて、
舌の根元が振動しているのを感じてください。
いびきはなるべく汚いいびきの方が振動します。[ʁa:]、
どうぞ!
次はいびきと息の吐き方を同時にもしくは交互に行うイメージで発音します。
ティッシュペーパーを揺らせるくらい前方に息も吐き続けましょう。
どうぞ!
最後に舌先の位置の調整し、
巻き舌になる位置を探します。[ra:]
どうぞ!
始めは手本通りにうまくできないかもしれませんので、
次は失敗例をご紹介しながら、
どうやって調整すればいいのか詳しく解説していきます。
舌先に力が入り過ぎている
日本語のル[ɺɯ]や英語のr[ɹ]を意識すると、舌先に力が入って失敗します。
巻き舌はそれらと違い、筋肉で動かすと言うよりは
息で舌を振動させることで発音されます。
それらの発音とは別物だと思って、初めは舌先の位置を気にするより、
舌の上に空気が流れることを感じられるように
息を吐くことに集中してください。
吐く息の時間が短い
練習なので、瞬間的にハッハッハッと息を吐くのではなく、
できれば、4秒間息を吐くことを意識してください。
長く息を吐けないという人は腹式呼吸を意識してください。
特に練習の際は
息を吐く時間が長いほど、発音しやすいです。
しかし、連続で行うと、酸欠になったり、
気分が悪くなるので、ご注意ください。
ガラスを曇らせるように息になっていない
前方に息を吐きましょうというと、
フーと吐くだけの人もいるかもしれませんね。
息の吐き方は手を温めるときのハーや
ガラスを曇らせるように息にしてください。
自分できているかわからないという人は
自宅にある鏡や窓ガラスに息を吐いてみて
半径10センチくらい、もしくは顔と同じくらいの大きさまで
ガラスが曇るか試してみてください。
いびき音ではあるが、舌が下がっている
舌先の位置を調整する際のコツです。
巻き舌を発音する際には舌の上側は見えません。
いびきを掻いたあと舌の位置を調整する際は
sh[ʃa]やチャ[t͡ɕa]のように舌は上げておきましょう。
息が漏れる方向が前方ではなく、側面になっている
いびき音を出しても、
舌の側面から息が漏れるとティッシュペーパーも動きません。
舌先のほう、上の前歯の間から息が出るイメージで練習しましょう。
練習時は笑顔を意識すると、
上の前歯から息が出るのが分かりやすいので、
習得しやすいかもしれません。
そこまでできているが、舌が歯茎に密着している
舌が歯茎に密着すると舌先が吐く息で振動できません。
冒頭のドライヤーと穴を開けた袋の実験例えるなら、
風の吹出口をセロハンテープで止めてしまっている状態ですね。
sh[ʃa]のように舌が歯茎に密着しない位置で息を出しながら、
いびきの振動を舌先に移動できるように練習しましょう。
もう一回発音練習
失敗例を踏まえて、再度発音練習をしましょう。
ガラスを曇らせるように息を吐く[xa:](4秒間)
次にいびきをかいて、
舌の根元が振動しているのを感じてください。
いびきはなるべく汚いいびきの方が振動します。[ʁa:]、
次はいびきと息の吐き方を同時にもしくは交互に行うイメージで発音します。
ティッシュペーパーを揺らせるくらい前方に息も吐き続けましょう。
最後に舌先の位置の調整し、
巻き舌になる位置を探します。[ra:]
これで発音練習は以上です。
今回ご紹介した内容に注意しながら、発音練習をしてみてください。
とは言え、動画だと「あれ?注意点どこやっけ?」という感じで
忘れたときに探すのが面倒かと思います。
この動画でお話した内容をブログにも全く同じ内容で掲載していますので、
復習用にお使いください。YouTubeの概要欄から確認いただけます。
復習
最後に今回ご紹介したコツを簡単に復習をしましょう。
- 日本語のル[ɺɯ]や英語のr[ɹ]は意識しない。全くの別物
- ガラスを曇らせるように息を吐く
- いびきの振動を感じる
- 舌の位置の調整し、振動を舌先に持っていく
巻き舌R[r],Tongue Trill 発音のコツ
以上が「巻き舌R[r],Tongue Trill 発音のコツ」でした。
おわりに
今回は視聴者様からの「R[r]の発音の習得方法について教えて下さい」
というリクエストにお答えして、徹底調査し、動画にしました。
音声学やボイストレーナーの動画やサイトまで
ありとあらゆる分野から情報収集し解説しましたが、いかがでしたか?
ここだけの話、この動画で解説しておきながら、
私の場合は中学生の時に
ずっとルルルルルルとお風呂場で練習し、一ヶ月位で習得しました。
「めっちゃ非効率な方法やけど、どうしてもロシア語ネイティヴ発音で話したいねん」という気合で乗り切りましたが、
この動画を見た皆様には絶対オススメしません。
ぜひとも今回ご紹介した手法で
皆様ができそうなもので練習してみてください。
一日二日ですぐには出来ないかもしれませんが、
今回のコツを使い練習すれば、
半年が三ヶ月に、一ヶ月が2週間にという感じで
期間短縮に繋がるのではと思っております。
もしこの動画のここの説明がわかりにくかったとか、
私はこうやって習得できたという報告をいただけましたら、
それらのご意見をまとめて、新手法として共有できればと思っています。
もし動画を見てもどうしても習得できないという方はあなたが発音されている
動画ファイルや音声ファイルを私にお送りいただければ、
私は音を聞くだけであなたの状態が分かりますので、アドバイスも可能です。
詳しくは動画の概要欄を御覧ください。
チャンネルのご紹介
最後にチャンネルのご紹介です。
私のチャンネルでは
「今日からあなたもマルチリンガル」というキャッチフレーズで
誰もがマルチリンガルになれる具体的な手法をご紹介しています。
今回の動画のように本来は音声学で扱われるような小難しい発音の習得術を
マルチリンガルを目指している方に分かるように
なるべく専門用語を使わず解説しています。
発音だけではなく、少しマニアックで
役に立つ文字の習得法などもご紹介しています。
YouTube、Blog、Twitter等で発信しておりますので、
興味がある人は動画の概要欄からご確認ください。
ではまたお会いしましょう!さようなら!
参考文献等
Rock & Roll your R – The Spanish trill, step by step
HOW TO ROLL YOUR R’S: THE DEFINITIVE GUIDE