末子音-Nと-NG 発音習得と聞き分けのコツ 明るい「ん」と暗い「ん」で区別できる(YouTube動画復習用)

タイ語 ドイツ語 ヒンディ語 フランス語 中国語 外国語学習 日本語 英語 韓国語

※本ブログは私のYouTube動画のテキスト版です。
 発音が含まれる箇所については元の動画を参考にして下さい。

こんにちは!今日からあなたもマルチリンガル!
理系の言語オタク日向です。

末子音-Nと-NG 発音習得と聞き分けのコツ

今回は視聴者様よりリクエストいただいた発音に関する内容です。
外国語を学習していると発音できない、聞き分けられないというお悩みはありませんか?

そして数ある発音の中でも日本語ネイティヴにとって
断トツで区別が難しいのは

末子音の-Nと-NG

があるのではないでしょうか?

中国語での例:山 shānと商 shāngを交互に流した音声

この悩みを根本的に解決するために今回私はそれらの発音の仕組み、音声学の研究や
各言語での様々な習得のコツを調べてみました。

すると、聞き分けられない原因、そして効果的な裏技があることを発見しました。
そして今回はそれらを元に私が独自で編み出した習得方法を図やクイズを交えてご紹介します。

この動画を最後まで見ていただくと、外国語ネイティヴと同じレベルで
-Nと-NGを区別して発音し、聞き分けもできるようになります。

ところでこの発音はどのような言語で区別が必要なのでしょうか?

-N[n]と-NG[ŋ]の両方の発音が存在する言語
標準中国語、タイ語、韓国語、タミル語、
英語、フランス語(-NGの綴りの一部)、ドイツ語、ヒンディー語、ベンガル語、
タガログ語、インドネシア語、日本語、マオリ語、ベトナム語

Voiced velar nasal

特に中国語、タイ語、韓国語では厳密な区別があります。
例えば、韓国語では반 banと방 bangのように末尾の音だけが違う単語があります。

それらは日本語ネイティヴには「バン」と同じように聞こえるにも関わらず、
반 ban(半、班)「半分、班」と방 bang(房)「部屋」のように意味が全く異なることがあります。

それらの区別を出来ていない学習者の方であれば、
韓国語ネイティヴに誤解されてしまったという経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

私もこの動画を作りながら、自分の発音がこれまで間違えていたことにようやく気づきました。

例えば、中国語や韓国語で「日本」という意味の単語、日本rìběnや일본ilbonは
日本語訛りの発音で話すと、実はそれらの言語には存在しない単語になります。

私はそれらの言語を大学生のときに始めたのですが、
これまで8年以上存在しない単語を自信満々で連呼し続けていたので今思えば恥ずかしい限りです。(笑)

さて-N,-NGの区別はアジアの言語で特に注目されがちな発音ですが、
英語、ドイツ語、フランス語にも存在します。

例えば英語の場合、以下のように区別して発音しているつもりでも、
音声学的には英語ネイティヴ話者にどちらも-NGとして認識されることがあります。

日本語訛りの英語だと
thin「薄い」はthing「物」に誤認識される?

You’re thin.「あなたは痩せています。」とYour thing「あなたの物」

このように誤って伝わると困ってしまうのではないでしょうか?

もちろん、-Nと-NGの発音の区別の重要度は言語ごとに異なります。
聞き手が日本語訛りを理解してくれる場合はある程度許容してもらえるかもしれません。

ただ以下の「2021 Duolingo Language Report」にあるように世界中で人気のある言語TOP10に
英語、フランス語、韓国語、標準中国語の4つがランクインしています。

2021 Duolingo Language Report

そのため、世界的に見ても人気のある言語を学ぼうと思ったら、
-Nと-NGが明確に区別されているため、それらの発音の区別は避けては通れないものになります。

さらに-Nと-NGの発音の習得には大きな問題があります。
まずはこちらをご覧下さい。

・N[n] 教科書でよく見る説明
日本語の案内an naiの「ん」と同じ発音
舌を上の歯の歯茎につける
  
・NG[ŋ] 教科書でよく見る説明
日本語の案外ang gaiの「ん」と同じ発音
口を開けてgやkのような発音にする
  
※舌の位置が上記の2つは異なる

これらは日本語で無意識に使い分けている発音です。

そのため、理論的には日本語ネイティヴにとって楽に発音することができるはずと思いきや
「外国語の発音となると聞き分けられへんし、区別して発音できひん!」という人もいるのではないでしょうか?

そんな-Nと-NGの発音について、動画の前半ではできない原因、日本語と各言語の発音の違いを理論的に解説します。
そして後半では習得のコツを紹介し、最後は聞き取りクイズを通してあなたの習得度合いを確認しましょう!

さて、ここでクイズです。

    日本語の「ん」の発音は音声学的に何種類あるでしょうか?

  1. 2種類
  2. 4種類
  3. 10種類以上

どれか一つお選び下さい。

正解は「3、10種類以上」でした。

日本語「ん」を表す音声記号
[ɴ]、[n]、[ɲ]、[ŋ]、[m]、
鼻母音([ã] [ĩ] [ɰ̃] [ẽ] [õ̞])

この中に日本語ネイティヴが外国語の-Nと-NGを発音するときに無意識に使ってしまう発音があります。
それはどんな発音なのでしょうか?

今回も70ヵ国語を勉強中である言語オタクの私と一緒に
ネイティヴ発音を習得することで、楽しい外国語ライフを手に入れましょう!

    目次

  1. 日本語「ん」の発音は10種類以上
  2. 明るい「ん」と暗い「ん」で区別する
  3. 聞き取りクイズ
  4. まとめとおまけ

その1 日本語「ん」の発音は10種類以上

日本語の発音にも中国語や韓国語で使われている-N[n]と-NG[ŋ]があります。
そのため、特定の日本語単語のどの部分で-N[n]と-NG[ŋ]を使っているか認識すれば
聞き分けもできると解説している人がいます。

しかし、それは間違いです。

その理由は以下の2つです。

日本語ネイティヴが-Nと-NGを聞き分けられない理由
1、外国語の-Nの発音を聴いたときに異なる発音に無意識に変換してしまう
2、外国語の-Nを発音するときに-NGの発音に近い鼻母音、口蓋垂鼻音[ɴ]を使う癖がある

「理由を聞いても、分からへんわ!」と思う人もいると思うので、
ここであなたの耳で実験してみましょう!

以下の音声を聞いてどんな違いがあるか考えてみましょう!
  

「発音がちゃうのは分かるけど、何がどうちゃうかまでは説明できひんわ」
という人も多いのではないでしょうか?

このような場合は音声学という発音を専門的に扱う学問を参考にすると
日本語の訛りの英語についても客観的に違いを表すことが出来ます。

日本語訛りの英語の発音の例
an[æn][ən] → 案(アン)[ã̠ɴ]
on[ɒn][ɔn] → 音(オン)[õ̞ɴ]
in[ɪn] → 印(イン)[ĩɴ]
sing[sɪŋ]  → 寝具(シング)[ɕĩŋɡɯ̟ᵝ]
compass[kʌm.pəs] → コンパス[kõ̞mpa̠sɨ̥ᵝ]

ここで注目したいのが日本語の「ん」の発音がどのように表されるかです。
音声学的に細かく分類すると、以下のように少なくとも10種類以上になります。

日本語「ん」を表す音声記号
[ɴ]、[n]、[ɲ]、[ŋ]、[m]、
鼻母音([ã] [ĩ] [ɰ̃] [ẽ] [õ̞])

この辺りの解説についてはYouTubeやブログで詳しく説明されている方もいますので、
そちらをご覧いただければと思います。

Wikipedia「ん」
日本語の「ん」の発音は5通りある! ~ やまとことば

「そんなけったいな記号で表すことで、俺に何のメリットがあんねん!」
と思った人もいるのではないでしょうか?

わざわざ日本語の「ん」の音声記号をご紹介した理由としては、
外国語の-Nと-NGの区別を邪魔している要因が明確になるからです。

以下の動画でもそのような日本語訛りの英語や中国語の特徴が紹介されています。

・英語の発音解説で有名なだいじろーさんの動画

・中国語の発音で日本語ネイティヴが-NGの発音を使うという話のKOBI老師さん

つまり、それらの現象を音声記号で表すことで、
日本語と外国語の発音の違いを国際基準で客観視できるようになるのです。

その結果、区別が難しいとされる発音の習得がしやすくなるというわけです。

「難しい理論とか言われても聞く気い失せるわー」という人もいると思うので、
専門用語はなるべく控えて解説します。

-Nと-NGの発音の違い

名称を覚える必要はありませんが、音声学では以下のように呼ばれます。

発音の名称
-N 歯茎鼻音 [n]
-NG 軟口蓋鼻音[ŋ]

「名称だけ聞いても分からへんわ!」と思うので、下図をご覧ください。
舌の位置と空気の流れを図で表すと、違いが一目瞭然となるのではないでしょうか?

後ほど発音の習得の際には上図を使いながら解説しますが、
「とりあえず舌の位置と空気の流れがちゃうんやな」という簡単なイメージだけ持ってもらえれば大丈夫です。

日本語の「ん」の音声記号とその出現位置

では今度は日本語の「ん」の発音を音声記号を使って表しながら、
日本語訛りの外国語の発音の特徴を見ていきましょう!

◯=出現する 、✕=出現しない

No. 音声記号 語中 語末
1 [ɴ]
2 鼻母音
[ã] [ĩ] [ɰ̃]
[ẽ] [õ̞]

ア・ヤ・ワ・サ・ハ行
の前にある「ん」
3 [m]
バ・パ・マ行
の前にある「ん」
4 [ɲ]
「チ・ジ・ニ」
の前にある「ん」
5 [ŋ]
カ行・ガ行
の前にある「ん」
6 [n]
No.1~5の語中に含まれないパターン
(チ以外のタ行、ヂ以外のダ行、
ニ以外のナ行、ラ行、
ジ以外のザ行の前にある「ん」)

Wikipedia「ん」

外国語では語末の発音に-N 歯茎鼻音[n]、-NG 軟口蓋鼻音[ŋ]を使うことがあるのですが、
上図より日本語では語末ではそれ以外の2種類の発音が使用されていることが分かります。

日本語の語末の「ん」
◯口蓋垂鼻音([ɴ])
例:パン[paɴ]、本 [hoɴ]、ペン[peɴ]
アラビア語やイヌイット語の異音として使われることがある
 
◯鼻母音([ã] [ĩ] [ɰ̃] [ẽ] [õ̞])
例:「線を」[seẽo]「パン屋」[paĩja]「本を」[hoõo]
簡単に言えば、鼻声のことです。
フランス語やポルトガル語でよく使われる母音

このため、外国語の-Nや-NGを日本語訛りで発音すると、
無意識だと上記の口蓋垂鼻音[ɴ]と鼻母音という発音になるということが分かります。

では次に、この口蓋垂鼻音[ɴ]や鼻母音という発音が
外国語で使われる-Nや-NGの発音のどちらに似ているのかを確認してみましょう!

口蓋垂鼻音[ɴ]と-NG 軟口蓋鼻音[ŋ]は似ている

口蓋垂鼻音[ɴ]

同じく鼻母音についても図で表すと下図の通りです。
-NGのときのように舌の根元が喉の出入り口に接近するイメージです。

鼻母音を含む例は以下の通りです。いわゆる鼻声で話したときの母音が鼻母音です。
一度発音してみると気づきやすいと思います。

鼻母音が使われる日本語
「線を」[seẽo]「パン屋」[paĩja]「本を」[hoõo]

鼻母音[ɑ̃]

ここまでの内容で日本語では語末の「ん」に下記のような口蓋垂鼻音と鼻母音を使っていて、
どちらも舌の根元が喉の出入り口に接近する発音だとご理解いただけたでしょうか?

日本語の語末の「ん」
◯口蓋垂鼻音([ɴ])
例:パン[paɴ]、本 [hoɴ]、ペン[peɴ]
アラビア語やイヌイット語の異音として使われることがある。
 
◯鼻母音([ã] [ĩ] [ɰ̃] [ẽ] [õ̞])
例:「線を」[seẽo]「パン屋」[paĩja]「本を」[hoõo]
簡単に言えば、鼻声のことです。
フランス語やポルトガル語でよく使われる母音。

したがって日本語訛りのまま外国語の-Nの発音をしようとすると
無意識だと-NGに近い発音になってしまうということが分かります。

そのため、-Nと-NGの発音習得という意味では
-NGはあまり気にする必要はなく、本当に対処すべき発音は-Nだということが言えます。

もちろん、ここまで登場した専門的な記号や用語を覚える必要はありません。

大事なポイントは日本語ネイティヴが外国語の発音をすると
無意識だと間違った発音をする癖があると知ることです。

その2 明るい「ん」と暗い「ん」で区別する

「日本語訛りの外国語の特徴が分かっても
どないして聞き分ければええか分からんわ」と思う人もいるのではないでしょうか?

その1で理論的なところを抑えた上で、ここからは具体的なコツをご紹介しましょう!

まず聞き分けのコツですが、これは実は簡単です!
明るい「ん」と暗い「ん」と区別すればいいんです!
以下のようにそれぞれの発音に対して、分かりやすい名称をつけると区別しやすくなります。

この2つで聞き分けられる
-N 歯茎鼻音 [n]:明るい「ん」、軽い「ん」
-NG 軟口蓋鼻音[ŋ]:暗い「ん」、重く長い「ん」

この方法は中国語の発音を解説されているKOBI老師や
タイ語やタイに関するブロガーのでんいちさんが紹介している方法です。

タイ語で「書く」の発音が意外に難しい件&語末のnとngの発音を区別するコツ

「発音に名前付けただけで、ほんまに聞き分けられるん?」と疑問に思うかもしれませんが、
試しに以下の中国語のサンプル音源を聴き比べて
-N[n]:明るい「ん」と-NG[ŋ]:暗い「ん」の違いを確認しましょう!

中国語の音声サンプル

上記のように交互に比較してみると、発音の違いがあるということが
理解しやすくなるのではないでしょうか?

言語ごとの細かい注意点として、中国語ではyinとyingの発音が区別されないことがあり、
Google翻訳でもyingにyinの発音を用いていることが分かります。

これについては中国語の解説で有名な李姉妹の動画でも
yinとyingは区別の必要性が低いペアとして紹介されていることから
言語によっては綴通りに発音されない例外もあるのだと頭の片隅に入れておきましょう。

中国語ではそのような発音のブレはあるものの、
韓国語やタイ語では基本的には綴り通り発音を区別しています。

韓国語の音声サンプル

반 ban(半、班)「半分、班」と방 bang(房)「部屋」を交互に流した音声
돈 ton「お金」を동 tong「洞」交互に流した音声

タイ語の音声サンプル

คน khon「人」とคง khoŋ「きっと、多分」を交互に流した音声
บ้าน bâan「家」とบ้าง bâaŋ「いくつかの」を交互に流した音声

「区別はなんとなくできるようになったけど、肝心の発音の仕方が分からへん!」という人もいるのではないでしょうか?

今度は発音の仕方を練習してみましょう!
聞き分けのコツが分かった上で正しく発音できるようになると、聞き分ける力がさらに上がります。

まずは暗い「ん」である-NG[ŋ]の発音を習得しましょう。

前半の話になりますが、日本語ネイティヴは無意識だと語末の「ん」を発音すると、
-NG[ŋ]に近い口蓋垂鼻音や鼻母音になるという説明を覚えているでしょうか?
そのため、日本語ネイティヴには-NG[ŋ]の発音のほうが習得しやすいと言えます。

そんな-NG[ŋ]の発音のコツは「ンガー」と発音練習することです。
この方法はタイ語やベトナム語でよく使われる方法です。

(動画内で実演)

ng 軟口蓋鼻音[ŋ]

-NG[ŋ]は日本語のカ行[k]やガ行[g]とも近い発音になります。
NGA[ŋa]「ンガー」とGA[ga]「ガ」を交互に発音してみると、
舌の根元が喉の入口を塞いでいることが分かるのではないでしょうか?

(動画内で実演)

口の中の奥の方で発音される特徴から-NG[ŋ]は暗い「ん」と表すことができるのです。
何度も大げさに、ゆっくり発音すると後ほど紹介する-Nとの発音の聞き分けがしやすくなります。

(動画内で実演)

今度はあなたも一緒に!

次は明るい「ん」である-N[n]の発音を習得しましょう!
すでに説明したとおり、日本語では通常は語末で-N[n]は発音できません。
(正確には発音することが困難です。)
本当に習得すべきなのはこの-Nの発音です。

舌の位置は下図の通り、歯茎に付くイメージで、
日本語のタ行のタ、テ、トの子音[t]やダ行のダ、デ、ドの子音[d]に近い発音です。

n 歯茎鼻音[n]

先程の-NG[ŋ]は日本語のカ行[k]やガ行[g]とも近い発音なのに対し、
-N[n]は[t]や[d]に近い発音です。

そのため、交互に発音してみると、舌の場所が全く違うと理解できるのではないでしょうか?

(動画内で実演)

「舌先の位置とか言われても何のことかさっぱりやわ」という人もいると思うので、
別のアプローチもご紹介します。

アニメのクレヨンしんちゃんでシロという飼い犬が出てきますが、
その鳴き声を真似するイメージで行えばいいかもしれません。

(動画内で実演)

「いやいや、それでもまだ分かりませんねん!」
という人には最後の奥の手があります。

練習として、鼻と上唇の間に指を置いてみて、極力鼻から息が漏れないように
上の歯の裏に舌先を付けて、-N[n]と発音してみましょう。

下図のように鼻母音や-NGの場合は鼻から息を出しやすいですが、
口から多く息を出そうとすると苦労します。
一方で、-Nの場合は口から息を出しやすい発音です。

その違いを利用して、-Nの場合は極力鼻から息が漏れないように発音します。

(動画内で実演)

あなたが思っている以上に大げさにやってみるのがおすすめです。
あくまでもこれは練習なので、違いが分かったら、
通常の-Nの発音通り口と鼻の両方から息を出して発音してもらって大丈夫です。

(動画内で実演)

今すぐ完璧にできなくても大丈夫です。
意識して繰り返し練習することで徐々に聞き分けられるようになります。

その3 聞き取りクイズ

「文字を見ながらやったら聞き分けられるけど、
 何もなかったら聞き分ける自信がないわ」という人もいるのではないでしょうか?

今度は様々な外国語にある-Nや-NGが含まれる単語の発音クイズを通して、
あなたの発音習得度を確かめてみましょう!

あなたが勉強したことのない外国語の場合もあるかもしれませんが、
聞き分けのコツはどの言語でも共通なのでご安心ください!

    第1問
    2つの音声を流します。
    원 won[wʌ̹n]の正しい発音は次のうちどちらでしょうか?

  1. 1番目
  2. 2番目

どれか一つお選び下さい。

正解は「1番目」でした。1番目の音声が원 won「韓国の通貨、ウォン」、
2番目の音声が웡 wong(存在しない単語)になっていました。

원 won「韓国の通貨、ウォン」

웡 wong(存在しない単語)

    第2問
    2つの音声を流します。
    インドネシア語asing[asɪŋ]の正しい発音は次のうちどちらでしょうか?

  1. 1番目
  2. 2番目

どれか一つお選び下さい。

正解は「1番目」でした。1番目の音声がasingで-NGで終わるので暗い「ん」ですね。
2番目の音声がasinでした。交互に聞いてみると、違いがわかりやすいかと思います。

asing「外国の、見知らぬ、奇妙な」

asin「塩辛い」

日本語に近そうな発音、つまり鼻母音っぽい発音をしているほうが
-NGで終わる単語と分かれば、区別できるかもしれません。

    第3問
    以下のタイ語の単語の音声として
    「ん」の発音は次のうちどちらでしょうか?

  1. เขียน khiǎn
  2. เขียง khiǎng

どれか一つお選び下さい。

正解は「2番目、เขียง khiǎng」でした。

「書く」เขียน khiǎn 

「まな板」เขียง khiǎng

「単語だけなら聞き分けられんねん!」という人もいるかもしれませんので、
最後の2問は難易度を上げて文章中での聞き分けに挑戦してみましょう!

    第4問
    以下の中国の音声に含まれる
    「ん」の発音は次のうちどちらでしょうか?

  1. N、明るい「ん」
  2. NG、暗い「ん」

どれか一つお選び下さい。

正解は「1、N、明るい「ん」」でした。
孟浩然(もう こうねん)の漢詩、「春暁(しゅんぎょう)」の一節からの出題でした。

春眠不觉晓 chūn mián bù jué xiǎo「春眠暁を覚えず」
    第5問
    以下の中国の音声に含まれる
    「ん」の発音は次のうちどちらでしょうか?

  1. N、明るい「ん」
  2. NG、暗い「ん」

どれか一つお選び下さい。

正解は「2、NG、暗い「ん」」でした。
こちらも1つ前のクイズと同じく、「春暁(しゅんぎょう) 」の一節からの出題でした。

夜来风雨声 yè lái fēng yǔ shēng「夜来風雨の声」

  

全問正解できたでしょうか?出来た人は素晴らしいです!

もし全問不正解の場合でも自分で意識して発音することで
徐々に聞き分けられるようになります。

習得できるまで、この動画を繰り返し聞いてもらっても構いませんし、
動画概要欄にあるブログでも全く同じ内容を載せていますので、復習のためにお使い下さい。

まとめとおまけ

NとNGの聞き分け方を理論、コツ、クイズを交えながら身に付けました。

    まとめ:末子音NとNGを聞き分け

  1. 日本語ネイティヴはNの発音に-NGに近い発音を使う癖がある
  2. -N[n]:明るい「ん」と-NG[ŋ]:暗い「ん」で区別する

私も動画化しておきながら、これらの発音は完璧ではありません。
日々失敗を繰り返し、練習しながら取り組んでいる真っ最中です。
この動画であなたと一緒にネイティヴ発音を極めていければ幸いです。

そして今回の動画で少なくとも以下の13ヶ国語で使える発音を学んだことになります。
これであなたもマルチリンガルの入り口に立てたのではないでしょうか?

-N[n]と-NG[ŋ]の発音が存在する言語
標準中国語、タイ語、韓国語、タミル語、
英語、フランス語(-NGの綴りの一部)、ドイツ語、ヒンディー語、ベンガル語、
タガログ語、インドネシア語、日本語、マオリ語、ベトナム語

ここからはおまけです。
本編では紹介しきれなかった豆知識をご紹介します。
自分にとって使えるなと思ったものだけ覚えてもらえればと思います。

各言語での-Nと-NGに関する豆知識

フランス語

-NGの綴りでも発音は単語ごとに異なります。

・フランス語本来語の多くは鼻母音
例:etang[e.tɑ̃] long[lɔ̃] poing[pwɛ̃]
 
・英語由来の単語は発音が一定しない
例:ring[ʁiŋɡ] planning[pla.niŋ] gang[ɡɑ̃ɡ]
 
・それ以外
元の言語の発音に従っている
例:kung-fu[kuŋ.fu]「カンフー」
  広東語の功夫Gung1fu1が由来とされる

www.dict.com/フランス語-日本語/*ng

中国語

・訛りによって発音の違いがある
南方訛りでは-NGを-Nと発音する傾向があります。
具体的には上海語訛りの中国語で発生する

[汉语小知识]方言
 
中国语言

・日本語の漢語を応用した-Nと-NGの見分け方
漢語とは簡単に言うと、古代の中国語より借用した語彙のことです。
中国語の単語の語末が-Nか-NGなのか忘れてしまったり、判断に悩んだりするときに
日本の漢字を音読みすると解決することがあります。

・日本語の漢字を音読みしたときに「ん」で終わる
 →中国語で-Nの可能性が高い
  日本語 山 san → 中国語 山 shan
 
・日本語の漢字を音読みしたときに母音で終わるもの
 →中国語で-NGの可能性がある
  日本語 上 shou → 中国語 上 shang

ただこの手法の注意点は以下の2つです。
1、日本に存在しない漢字の場合はこの法則が使えない
2、音読みでも呉音、漢音の読み限定で使える方法で、
  唐音の音読みでは推測することができない

詳しくは以下のサイトを御覧ください。

中国語の鼻母音nとngの聞き分けと遣唐使の歴史

つまり、この手法は一見便利そうに見えますが、それを行うには
日本語の漢字の音読みの知識が必要で、現実的ではありません。

さらに日本で使用頻度の低い漢字や存在しない漢字かどうかをいちいち調べていてはキリがありません。

このことからも、-Nと-NGを聞き取れるようにして
音とセットで必要な単語の綴りを思い出せるようにするほうが私の経験上、効率が良いと感じています。

ほかにもオンライン辞書サイトで打ち込んで調べるのが面倒な場合は、
Google翻訳で音声入力するほうがピンインすぐに分かる場合もあります。

韓国語、ベトナム語

前述の中国語でお伝えした同じ手法で、日本語における漢語を活用すると、
韓国語やベトナム語における漢語の読みも多少推測することができます。

・日本語の漢字を音読みしたときに母音で終わるもの
 →韓国語では-NGの可能性がある
 →ベトナム語では-NG、-NHの可能性がある
 
・日本語の漢字を音読みしたときに「ん」で終わる
 →韓国語やベトナム語で-Nか-Mの可能性が高い

古代の中国語では-N,-NG,-Mの区別があり、現代の中国語では-Mは-Nに統合されましたが、
広東語、韓国語やベトナム語では当時の名残が残っているようです。

中国語,韓国語,ベトナム語の漢字音の韻尾「−n」「−ng」「入声音」と日本語の音読との対応関係
  
ベトナム語については方言により差があるので詳しくはこちら
Help:IPA/Vietnamese

おまけは以上です。

  

最後にYouTubeチャンネルのご紹介です。
私のチャンネルのキャッチフレーズは
「今日からあなたもマルチリンガル」です。

70ヶ国語勉強中の私が理系発想の視点と語学ミニマリストの観点で、
数カ国語を同時に習得できるコツや考え方をご紹介しています。

(1)理系発想の視点
  ①丸暗記はしない勉強法
  (多言語学習中ならでは独自メソッド)
  ②曖昧さは採用しない勉強法
  (数値でもって証明する独自理論)
  
(2)語学ミニマリストの観点
  ①留学や通信講座は利用しない
  ②分厚い辞書や書籍は買わない

そして私の夢は次の2つです。

「誰もがマルチリンガルになれる!」
ということを全人類の常識にすること、

「誰もがマルチリンガルになれる」
そんな場を作ることです。

もしあなたがマルチリンガルになるための手法をもっと知りたいと思ったら、
または私の夢に賛同いただけたら、チャンネル登録・高評価をお願いします。

あなたからのリクエストもお待ちしています!

では、さようなら

主な参考文献


Japanese phonology

国際音声記号

やさしい中国語発音「鼻音」

中国語でピンインの-nと-ngを聞き分ける方法

中国語の鼻母音nとngの聞き分けと遣唐使の歴史

中国語: 鼻音(n & ng)の発音 – 前鼻音と后鼻音 | 鼻音(鼻母音)

The N Sound and the N-G Sound

https://web.uvic.ca/ling/resources/ipa/charts/IPAlab/IPAlab.htm

日本語での発話最終モーラ鼻音の生成:リアルタイムMRI研究