【世界初解明】アイヌ語はどこから来たのか来たのか? / インドヨーロッパ語族・オーストロネシア語族クレオール言語理論(YouTube動画復習用)
アイヌ語 インドネシア語 スペイン語 タガログ語 トカラ語 ドイツ語 ハワイ語 ヒンディ語 フランス語 ポルトガル語 マオリ語 ロシア語 外国語学習 日本語 英語 語族の活用
※本ブログは私のYouTube動画のテキスト版です。
発音が含まれる箇所については
元の動画を参考にして下さい。
Irankarapte!こんにちは!
今日からあなたもマルチリンガル!
理系の言語オタク日向です。
目次
- テーマとメリットの紹介
- チャンネル紹介
- 調査方法
- 前提知識
- アイヌ語の元になった最も近い2つの言語
- アイヌ語を構成している2つの語族
- インドヨーロッパ語族トカラ語とは?
- インドヨーロッパ語族イタリック語派と起源が同じと考えられる単語
- インドヨーロッパ語族インド・イラン語派と起源が同じと考えられる単語
- インドヨーロッパ語族全体との比較
- しかし、アイヌ語はインドヨーロッパ語族ではない!
- オーストロネシア語族と起源が同じと考えられる単語や文法
- オーストロネシア語族から影響を受けている第2の根拠
- アイヌ語はインドヨーロッパ語族とオーストロネシア語族とのクレオール言語である
- アイヌ語の成り立ちに韓国語は無関係である
- 地名と言語で分かる!インドヨーロッパ系アイヌ人の先住性
- まとめとチャンネル紹介
- おまけ:インドヨーロッパ語族由来Aynuアイヌの本当の意味
- おまけ:オーストロネシア語族 カムイ kamuyと神 kamiの語源の考察
アイヌ語はどこから来たのか?
この科学技術が発展した21世紀においてもアイヌ語はどこで生まれたのか?
そもそも最初から北海道で話されていたのかなど謎に包まれていました。
なぜなら 、先行研究でアイヌ語と以下の言語が比較されていますが、共通点がほとんどないとされているからです。
日本語、韓国語
シベリアの言語(ニヴフ語など)
オホーツクの言語
北アメリカの先住民の言語
すべての論文を確認したわけではありませんが、決定打になる証拠を示しているものが見当たりませんでした。
また、あくまで主観ですが、そもそも比較対象が違うのでは?さらにインドヨーロッパ語族に近いのでは?という思いがありました。
ですが、私の直感を裏付ける証拠がない状態では、理系の言語オタクとして許せません。
そこで「アイヌ語はどこから来たのか?」という謎を解き明かすために
2021年6月から、丸一年かけてアイヌ語を世界680言語と比較しました\(^o^)/
その結果、アイヌ語は2つの語族から構成されているということが分かりました。
これについてはアイヌ語基本単語930単語中、414単語を調べて、現段階で96.8%の由来を説明できています。
さらに
この事実に基づき、アイヌ語の成り立ちに関して私が提唱したい理論があります。
それは「インドヨーロッパ語族・オーストロネシア語族クレオール言語 理論」です。
この動画は世界で初めてアイヌ語の成り立ちを事実に基づき解明できた話になります。
さらに切り離すことができないアイヌ人や日本語のルーツについても触れていきます。
おまけコーナーではアイヌの本当の意味についてもお話しします。
チャンネル紹介
本編に移る前にチャンネルの紹介です。
このチャンネルのキャッチフレーズは「今日からあなたもマルチリンガル」です。
70ヵ国語勉強中である言語オタクの私が、理系発想の視点と語学ミニマリストの観点から、
言語学習に役立つ独自の手法や考え方をご紹介しています。
そんな私の夢は次の2つです。
「誰もがマルチリンガルになれる」そんな場を作ることです。
もしあなたがマルチリンガルになるための手法をもっと知りたいと思ったら、
または私の夢に賛同いただけたら、お早めにチャンネル登録をお願いします。
では本編に移ります。ここからはそこそこ長い話になると思うので、この後はラジオ感覚で聞いてもらえればと思います。
調査方法
アイヌ語は世界の言語でどれに近いのか?
それはずばり!記録に残っている世界中のほぼ全ての言語と比べると信頼性が高いと考えました。
「そんなこと不可能やろ!」と思うかもしれませんが、Wiktionaryという辞書サービスを使えばいいんです。
Wikipediaと同じく、ウィキメディア財団が提供している多言語辞書サービスです。
https://en.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:Main_Page
Wiktionaryの使い方については過去の動画をご覧ください。
◯前提条件
アイヌ語沙流方言の単語約900単語を基本単語としています。
https://www.ff-ainu.or.jp/teach/files/saru_tango.pdf
※名詞の所属形は別単語とは扱わず、原形に含む
その他、具体的な手法、参考文献はこちらのとおりです。
手法
- 「国立アイヌ民族博物館アイヌ語アーカイブ」で、アイヌ語基本単語の正確な意味や英訳を確認
https://ainugo.nam.go.jp/ - 英語版Wiktionaryで基本単語の英訳を検索し、翻訳の項目から各言語での同じ意味を持つ単語を確認
- 2の単語を英語版Wiktionaryや専門サイトで語源を確認
- 助詞や接頭辞など検索しにくいものについては想定される綴りで検索し、似たような意味や役割を持つ単語を確認
例えば、日本語の「が」は英語には存在しないため検索できない
そのためgaやngのような単語を検索することになる - 英語版Wiktionaryで情報が不足している言語は海外版Wikipediaを確認
- 文法については専門サイトや書籍で確認
https://ainugo.nam.go.jp/
https://ainu.ninjal.ac.jp/topic/dictionary/jp/
◯世界中の言語
https://en.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:Main_Page
https://en.wiktionary.org/wiki/Appendix:Swadesh_lists
https://www.dict.com/
◯インドヨーロッパ語族
https://lrc.la.utexas.edu/lex/languages
https://www.win.tue.nl/~aeb/natlang/ie/tochB.html
◯オーストロネシア語族
https://www.trussel2.com/acd/acd-ak_a.htm
https://www.tagalog.com/dictionary/
https://maoridictionary.co.nz/
◯書籍
アイヌ語の研究 村山七郎
アイヌ語とインド・ヨーロッパ祖語―語根を比較する
ニューエクスプレスプラス アイヌ語
CDエクスプレス アイヌ語
アイヌ文化の大研究 歴史、暮らし、言葉を知ろう (楽しい調べ学習シリーズ)
地図でみるアイヌの歴史―縄文から現代までの1万年史
ニューエクスプレス タガログ語
ニューエクスプレス ロマニー語
ニューエクスプレス タミル語
ニューエクスプレス インドネシア語
もちろん、私は言語学者でもアイヌ語の専門家でもなく、ただの“理系の言語オタク”です。
不足している観点もあるかもしれませんので、その場合はアドバイス頂ければ幸いです。
この調査結果はブログ内に貼っておきますので、興味のある方はご確認ください。
前提知識
アイヌ語の成り立ちを理解するために必須の概念があります。それが「語族」です。
非常に簡単に説明すると、語族とは、起源が共通とされている言語のグループのことです。
人類の祖先がサルであるように、言語にもご先祖様が存在します。
共通祖先から分かれた言語をグルーピングし、〇〇語族という形で分類しているのです。
代表的なもので言えば、インドヨーロッパ語族があります。
例えば、英語、フランス語、ヒンディー語が属しており、それらは全て言語的に共通の先祖を持っています。
この語族という概念を持っていただくことがアイヌ語の成り立ちを理解するための要になります。
アイヌ語の元になった最も近い2つの言語
早速、アイヌ語の元になった最も近い言語を2つご紹介します。
◯1つ目 インドヨーロッパ語族 トカラ語B
初めて 名前を聞いた人のほうが多いと思います。
世界中の誰もが見落としていたトカラ語Bこそがアイヌ語の成り立ちを解くために欠かせない鍵だったのです。
下図をご覧ください。こちらはアイヌ語とトカラ語Bで発音と意味が近い単語を私が発見したので一覧にしました。
・アイヌ語トカラ語Bの比較表(一部抜粋)
ちなみにアイヌ語、トカラ語A、トカラ語Bで共通単語を比較すると、以下のようになります。
「ぱっと見、トカラ語Bよりトカラ語Aのほうがアイヌ語に近いやん!」と思う人もいるのではないでしょうか?
しかし、Wiktionaryでのエントリー数を比較した場合、トカラ語Bの2072単語に比べると、
トカラ語Aはその5分の1である412単語しかありません。
したがって、信頼性の観点からアイヌ語の元になった言語に最も近いものはトカラ語Bと現時点では判断しています。
https://en.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:Statistics
このトカラ語A、トカラ語Bともにヨーロッパに起源がある言語です。
簡単に言えば、英語の親戚です。
しかし、現在では絶滅した言語になっています。詳細は後ほどご紹介します。
◯2つ目 オーストロネシア語族 タガログ語
フィリピン語とほぼ同義ですが、正確にはフィリピン語のベースになった言語です。
フィリピン語には英語やスペイン語由来の外来語が多いため、
この動画ではそのような外来語の影響が少ないものをタガログ語と呼ぶことにします。
下図をご覧ください。こちらはアイヌ語とタガログ語で発音と意味が近い単語を一覧にしたものです。
・アイヌ語とタガログ語の比較表(一部抜粋)
以上、アイヌ語の元になった最も近い言語を2つご紹介しました。
そもそもヨーロッパ起源のトカラ語Bとフィリピンのタガログ語は系統的に全く異なる言語です。
その違いを例えるなら、トマトと扇風機くらい違います。
それにも関わらず、それくらい異なる2つの言語とアイヌ語には共通点があるのです。実に興味深いと思いませんか?
アイヌ語を構成している2つの語族
現代のアイヌ語を構成している言語に最も近いのはトカラ語Bとタガログ語だと紹介しました。
ここからはトカラ語Bとタガログ語がそれぞれどの言語の親戚なのか?どこに起源があるのか?を
語族という観点で見ていきましょう!
ちなみに同じ語族内の言語であれば、単語、文法、発音などで共通点があります。
そのため、アイヌ語に影響を与えた語族が分かれば、成り立ちを 解く手がかりになるかもしれません。
まず、トカラ語Bはインドヨーロッパ語族というグループに属しています。
◯インドヨーロッパ語族
英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ロシア語、ギリシャ語、ヒンディー語、ペルシャ語など
そういった言語をあなたが勉強した、あるいは名前を聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか?
世界の人口の46%(32億人)、約半数が第一言語として使っています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/インド・ヨーロッパ語族
この インドヨーロッパ語族の起源は、現在のロシア南部からウクライナ南部の地域というのが有力であり、
紀元前4千年紀の前半頃からヨーロッパやインド、さらには現在の中国西部まで広がったとされています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Kurgan_hypothesis
アイヌ語が トカラ語に近いということから、アイヌ語の起源の一つとして、ロシア南部からウクライナ南部の地域という可能性があります。
一方 、タガログ語はオーストロネシア語族というグループに属しています。
先程のインドヨーロッパ語族とは全くもって別系統の言語です。
◯オーストロネシア語族
インドネシア語、マレー語、ハワイ語、マオリ語、マダガスカル語、台湾先住民の言語など
世界人口の4.9%(約3億8600万人)によって話されています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Austronesian_languages
このオーストロネシア語族の起源は台湾です。紀元前3500〜4000年頃に誕生したと考えられています。
その後、台湾→フィリピン→インドネシア付近→メラネシア→ポリネシアのように広がっていったのではないかと考えられています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Austronesian_languages
使用 地域の分布はアフリカのマダガスカルから、太平洋のハワイまで幅広い地域で話されています。
その拡がりの割には、語族全体で見るとそれほど変化していないことも特徴の一つです。
アイヌ語がタガログ語に近いということから、アイヌ語の起源の一つとして、台湾という可能性があります。
ここまでの内容をおさらいすると、
1、 トカラ語Bはインドヨーロッパ語族であり、その起源は現在のロシア南部からウクライナ南部の地域である
2、 タガログ語はオーストロネシア語族であり、その起源は台湾である
インドヨーロッパ語族トカラ語とは?
トカラ語は非常に面白い言語なんです!「すでに絶滅した言語のどこがおもろいねん!」と思いますよね!?
ではどの地域で使われていたでしょうか?
1,イギリス ウェールズ地方
2,カナダ バンクーバー
3,中国北西部 タリム盆地
どれか一つお選びください。
正解は「3,中国北西部 タリム盆地」でした。
現在、新疆ウイグル自治区と言われる地域です。ニュースで聞いたことがある人もいるかもしれませんね?
https://www.britannica.com/place/Tarim-Basin
すでにご紹介したようにトカラ語はインドヨーロッパ語族です。
インドヨーロッパ語族と言えば、ヨーロッパやインド付近で使われているというイメージが強いかもしれません。
しかし、このトカラ語が話されていたのはヨーロッパでもインドでもありません。
日本のお隣、中国なんです。面白いと思いませんか?
発見された当時は古代中国に存在した未知の言語とされていたのですが、
20世紀初頭にインドヨーロッパ語族であると判明したのです。
まさか古代の中国に英語やフランス語の親戚が存在していたとは当時は夢にも思わなかったでしょう!
さらに、それがアイヌ語に関係しているとしたら、ますます興味が湧くのではないでしょうか?
ところで、「トカラ語BのBって何やねん!」と思う人もいるのではないでしょうか?
◯トカラ語の種類
トカラ語は2種類あります。それがトカラ語Aとトカラ語Bです。
トカラ語の文献が見つかったときはそれぞれ異なる言語とは考えられておらず、
その民族が自称していた言語名も分からなかったため、一方をトカラ語A、もう一方をトカラ語Bとしたのです。
トカラ語B、トカラ語B方言、クチャ語、西トカラ語、亀茲(きじ)語
https://en.wikipedia.org/wiki/Tocharian_languages
様々な呼び方がありますが、この動画ではトカラ語A、トカラ語Bと呼ぶことにします。
ここまでトカラ語について知ると、
アイヌ語との比較対象になぜこれまで上がらなかったのかという理由が推測できます。
・トカラ語は中国で使われていたものの、現代では死語である
・世界的に見てトカラ語の研究者の数は多くはない
・トカラ語に関する資料は日本語ではほとんど見つからず、英語での検索になる
私が調べたところ、日本でもトカラ語の研究者がいるようです。
とは言え、まさかアイヌ語とトカラ語が関係しているとは思わなかったのではないでしょうか?
逆にアイヌ語学者もトカラ語を知らなかったのではないでしょうか?
動画制作後に見つけた参考になりそうなブログ
ここからはトカラ語の言語的な特徴を見ていきましょう!
もちろん、このトカラ語の特徴はアイヌ語にも受け継がれています。
簡単に言えば、トカラ語はインドヨーロッパ語族のご先祖様的な特徴を持っています。
下図をご覧ください。トカラ語はインドヨーロッパ語族でも大きく11系統ある中で、2番目に早く分岐しています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Indo-European_languages
そのため、現存している全てのインドヨーロッパ語族の言語と共通する単語、文法、発音を有しているのです。
https://img.mylot.com/2722147.jpeg
注目すべきこととして、トカラ語は以下の2種類の語派の特徴を併せ持っていることです。これはトカラ語独自のものです。
◯イタリック語派
ラテン語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、ルーマニア語など
https://en.wikipedia.org/wiki/Romance_languages
◯インド・イラン語派
サンスクリット語、ヒンディー語、ウルドゥー語、ロマ語、アッサム語、ベンガル語、ネパール語、
シンハラ語、ペルシャ語、クルド語など
https://en.wikipedia.org/wiki/Indo-Iranian_languages
言い換えれば、トカラ語はフランス語っぽいヒンディー語であり、イタリア語っぽいペルシャ語でもあるのです。
そして、このトカラ語の特徴がアイヌ語にも受け継がれていることを私は発見しました。
ちなみにアイヌ語がインド・イラン語派に属しているベンガル語やサンスクリット語と共通点があるという先行研究もありますが、それだけではアイヌ語と起源が共通であるという証拠としてはやや不足していたというのが私の見解です。
1、8世紀まで中国北西部のタリム盆地で使われていた。
2、トカラ語Aとトカラ語Bの2種類がある
3、アイヌ語との比較対象に上がらなかったのは死語だったのが理由かもしれない
4、イタリック語派とインド・イラン語派の特徴を併せ持つ
ここからはほぼ全てのインドヨーロッパ語族と比較した結果を見ていきましょう!
インドヨーロッパ語族イタリック語派と起源が同じと考えられる単語
ここでは、ラテン語やラテン語から派生した言語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語を参考に、
アイヌ語との比較例を見てみましょう!一部の比較結果にはラテン語と同起源の英単語も加えています。
すると、驚きの結果になりました。
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Indo-European/(s)pend-
https://en.wiktionary.org/wiki/weigh#Translations
https://en.wiktionary.org/wiki/heavy
https://en.wiktionary.org/wiki/penso#Latin
https://en.wiktionary.org/wiki/seagull
https://en.wiktionary.org/wiki/gavia#Latin
https://en.wiktionary.org/wiki/casa#Latin
https://en.wiktionary.org/wiki/dry#Translations
https://en.wiktionary.org/wiki/siccus#Latin
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Indo-European/h%E2%82%82sews-
ここまで見ると、アイヌ語の語源を探るにはラテン語系の言語と非常に相性が良いということが分かるのではないでしょうか?ここからはやや発音や意味が変化していると思われるものを見ていきましょう!
https://en.wiktionary.org/wiki/paucus#Latin
https://en.wiktionary.org/wiki/small#Translations
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Indo-European/peh%E2%82%82w-
https://en.wiktionary.org/wiki/hour#Translations
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Indo-European/y%C3%B3h%E2%82%81r%CC%A5
https://en.wiktionary.org/wiki/sine#Latin
ここからはアイヌ語の研究だけでは同起源だと分からない例、
つまり、ラテン語の知識を借りることで、同起源だと判断できる例を見ていきましょう。
https://en.wiktionary.org/wiki/siliqua#Latin
https://en.wiktionary.org/wiki/silica
https://en.wiktionary.org/wiki/silicon
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Indo-European/meytH-
https://en.wiktionary.org/wiki/will#English
https://en.wiktionary.org/wiki/-o#Latin
https://www.porgoru.com/931.html
https://www.enforex.com/japanese/language/future-tense.html
最後はアイヌ語になったときに語源を間違えて解釈されてしまったものです。
https://en.wiktionary.org/wiki/dance#Translations
https://en.wiktionary.org/wiki/ballo#Latin
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Indo-European/g%CA%B7elH-
https://en.wiktionary.org/wiki/ballet#Translations
https://en.wiktionary.org/wiki/volley
ここまで、インドヨーロッパ語族イタリック語派とアイヌ語と比較例を見てみました。
実際に見てみると、思ったより似ているというものもあったのではないでしょうか?
インドヨーロッパ語族インド・イラン語派と起源が同じと考えられる単語
イタリック語派に続いて、今度はインド・イラン語派との比較を見ていきましょう!
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Indo-European/h%E2%82%82ep-
https://en.wiktionary.org/wiki/do/translations#Verb
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Indo-European/k%CA%B7er-
https://en.wiktionary.org/wiki/करोति#Sanskrit
アイヌ語がインド・イラン語派と共通点があるということについてご理解いただけたでしょうか?
これは世界中のどこの言語を探しても、アイヌ語とインドヨーロッパ語族インド・イラン語派しかない共通点なのです。
アイヌ語がイタリック語派とインド・イラン語派と非常に多くの共通点を持つ理由は
元になったトカラ語の特徴を受け継いだからなのです。
インドヨーロッパ語族全体との比較
https://en.wiktionary.org/wiki/night#Translations
https://en.wiktionary.org/wiki/star/translations#Noun
https://en.wiktionary.org/wiki/full#Translations
https://en.wiktionary.org/wiki/poly-#Translations
https://en.wiktionary.org/wiki/plus#Latin
https://en.wiktionary.org/wiki/plenus#Latin
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Indo-European/pleh%E2%82%81-
https://en.wiktionary.org/wiki/%D9%BE%D8%B1#Persian
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Indo-European/h%E2%82%82%C3%A9k%CA%B7eh%E2%82%82
http://ww4.tiki.ne.jp/~rockcat/hoken/tohoku.html
https://en.wiktionary.org/wiki/three#Translations
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Indo-European/tr%C3%A9yes
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Indo-European/dw%C3%B3h%E2%82%81
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Indo-European/sem-
https://www.trussel2.com/ACD/acd-s_s2.htm#26451
https://www.trussel2.com/ACD/acd-s_k.htm#31590
同じように調べると、Wikipediaに載っているアイヌ料理5つ中、3つはインドヨーロッパ語族由来だと判明しました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/アイヌ料理
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Germanic/sup%C3%B4
https://en.wiktionary.org/wiki/ius#Latin https://en.wikipedia.org/wiki/Ukha
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Indo-European/y%C3%BAHs
https://en.wiktionary.org/wiki/Reconstruction:Proto-Indo-European/g%CA%B7eyh%E2%82%83-
https://en.wiktionary.org/wiki/sito
https://en.wiktionary.org/wiki/sito-
https://en.wikipedia.org/wiki/Ancient_Greek_cuisine
https://en.wiktionary.org/wiki/grain#Translations
https://ja.wikipedia.org/wiki/アイヌ料理#シト_sito(団子)
しかし、アイヌ語はインドヨーロッパ語族ではない!
「こんだけ単語が似てるんやったら、アイヌ語はインドヨーロッパ語族で決まりやん!」と誰もが思うのではないでしょうか?
しかし 、その考えは短絡的すぎます。
なぜなら 、単語が似ているだけでは、起源が同じだという証拠にはならないからです。
例えば、日本語には大量の漢字がありますが、日本語は中国語とは言語系統的に無関係です。
日本語と中国語は発音も文法も大きく異なるからです。
同様にアイヌ語の起源がどこであるかを判断するには単語の共通点だけでなく、
発音や文法についても考慮し、総合的に判断する必要があるのです。
そこで私の調査結果に戻りましょう。
アイヌ語単語の由来は約64%がインドヨーロッパ語族の可能性がある一方で、
約34%はインドヨーロッパ語族には存在しない、またはそれでは説明できない単語がありました。
ここで異質なのが、インドヨーロッパ語族の言語では例外なく、人称代名詞について共通点があるのに対して、
アイヌ語ではその共通点が見られないことです。
その一例として、一人称単数「私」という意味の単語をアイヌ語とトカラ語B、ラテン語で比較してみましょう。
ご覧の通り、一人称単数形がアイヌ語とインドヨーロッパ語族の言語では全く違うのが分かるでしょうか?
ほかにもアイヌ語には代名詞と人称接辞という区別があり、それはインドヨーロッパ語族には存在していません。
したがって、いくら他の単語が一致していたとしても、インドヨーロッパ語族で共通しているはずの人称代名詞が
一致していないとなると、アイヌ語はインドヨーロッパ語族ではないという結論になるのです。
そういったインドヨーロッパ語族では説明できない例は文法についても見られます。
1.所有の表現に譲渡可能性が存在すること
2.「私達」の表現にClusivity「包含性」が存在すること
このようにアイヌ語とインドヨーロッパ語族には確かに多くの共通点があるものの、インドヨーロッパ語族であると結論づけると、
説明できない点や多くの矛盾が生じてくるのです。
そこで冒頭の話を思い出してほしいのが、アイヌ語はオーストロネシア語族タガログ語とも共通点があるということです。
先程インドヨーロッパ語族だけでは説明できなかった事柄がこのオーストロネシア語族を参考にすると、キレイに解決するのです。
ここからアイヌ語の起源を巡る舞台がヨーロッパから、オーストロネシア語族の起源である台湾に移ります。
ワクワクしてきますね!
オーストロネシア語族と起源が同じと考えられる単語や文法
オーストロネシア語族の有名な言語を挙げると、インドネシア語、マレー語、タガログ語、ハワイ語、マオリ語がありましたよね?
アイヌ語の元になった言語に最も近いのはタガログ語ということでしたが、
現段階では誰もがぴったり共通していると思えるような単語は以下の通りでした。
・アイヌ語とオーストロネシア語族との比較(抜粋版)
インドヨーロッパ語族の場合と比べると、アイヌ語と明らかに共通していると分かる単語は少なかったです。
では、なぜタガログ語がアイヌ語の元になった言語に最も近いと判断したのでしょうか?
一番の根拠になるのは動詞の接頭辞i-の存在です。
◯アイヌ語の接頭辞i-の説明
アイヌ語において動詞の接頭辞i-とは
動詞の先頭に付き、「もの、それ、人」など目的語のような役割を果たしています。
これは非常によく使われる接頭辞で、これがないとアイヌ語として成立できません。
例えば、以下のように接頭辞i-が動詞につくことで、意味が変化します。
huraye 「~を洗う」 → ihuraye 「ものを洗う、 洗いもの(洗濯)をする」
同じく接頭辞i-が付く有名な単語としては以下の2つがあります。どちらもアイヌにとって欠かせない言葉です。
iyomante [i-y-oman-te ものを・(挿入音)・行か・せる]「クマ送りをする、イオマンテをする」
したがって、アイヌ語の起源を説明するにはこの接頭辞を持っている言語であることが必須条件になるのです。
では世界中にあるどの言語がこの接頭辞を持っているのでしょうか?
Wiktionaryで接頭辞i-とそのまま調べると、いくつかの言語に同じ綴りの接頭辞が存在していることが分かります。
しかし、アイヌ語のように目的語の役割を果たすのはタガログ語しかないのです。
https://en.wiktionary.org/wiki/i-#Tagalog
ではタガログ語の接頭辞i-の使い方を見てみましょう!
タガログ語では接辞i-といい、目的焦点動詞や恩恵焦点動詞という動詞を作ります。
・タガログ語の接辞i- 1つ目の意味「ひとやものに何かをすること、様々な種類の行為を表現する」
・タガログ語の接辞i- 2つ目の意味「~のために何かをする」
https://learningtagalog.com/grammar/verbs/verb_affixes.html
https://en.wiktionary.org/wiki/Appendix:Tagalog_affixes
http://tagalog143.blog.fc2.com/blog-entry-664.html
以上 のようにアイヌ語特有と思われていた接頭辞がそっくりそのままタガログ語に存在しているのです。
よって、いくつかの単語の共通点、そして接頭辞i-の存在が決定打になりました。
そこから、オーストロネシア語族と比較すれば、
アイヌ語に欠かせない次の2つの文法の由来についても説明できるのではないかと考えました。
1.所有の表現に譲渡可能性が存在すること
2.「私達」の表現にClusivity「包含性」が存在すること
初めて聞くような難しい言葉かもしれませんが、ここから分かりやすく説明しますので、ご安心ください。
◯所有の表現における譲渡可能性
譲渡可能性とは「所有者が所有物を自分から離し、別の誰かに移転しうること」です。
譲渡可能な所有物には飼育動物、道具などがあります。
譲渡不可能な所有物には親族や身体部位が通常含まれます。
この区別が名詞によって決まっているのです。
例えば、通常、「私の腕」を「あなたの腕」にすることはできないので、
「腕」は譲渡不可能な名詞ということになります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/所有_(言語学)
https://en.wikipedia.org/wiki/Inalienable_possession
言うまでもなく、科学技術的に実現できるから譲渡可能ということではなく、その言語が誕生した際には譲渡不可能だという認識に基づくものです 。
・アイヌ語と譲渡可能性の文法がない言語との比較
https://www.ff-ainu.or.jp/teach/files/saru_tyukyu.pdf
このような所有の表現で譲渡可能性を持つ言語は世界中でもいくつか存在しています。
その中でも、オーストロネシア語族であれば、マオリ語やハワイ語などに
名詞ごとにo-クラスとa-クラスと呼ばれる譲渡可能性の区別があります。
◯私達の単語にClusivity「包含性」が存在している
簡単に言えば、「私達」という単語に聞き手を含むか、含まないかという文法です。
例えば、「私達は公園行くけど、君はどうする?」という「私達」には聞き手である「君」は含んでいません。
一方で、「私達全員で優勝すんで!」の「私達」には聞き手を含んでいます。
この区別があることをClusivityといいます。
これはタガログ語、マレー語、マオリ語、ハワイ語などオーストロネシア語族で広く見られる文法です。
https://en.wikipedia.org/wiki/Clusivity
ここまでの内容をまとめると次のとおりです
- アイヌ語とオーストロネシア語族には単語の共通点がある
- アイヌ語の接頭辞i-はタガログ語にも存在し、用法が同じである
- アイヌ語の文法について所有の表現に「譲渡可能性」と「私達」の表現にClusivity「包含性」が存在することについても、オーストロネシア語族由来であると仮定すれば、説明できる
したがって、アイヌ語の起源の一つとして、オーストロネシア語族の発祥の地である台湾があり、
言語的にはタガログ語とも近いということが分かるのです。
オーストロネシア語族から影響を受けている第2の根拠
実はアイヌ語と同じように日本語もオーストロネシア語族の影響を受けています。
日本語の成り立ちについては別の動画にするので、詳細は割愛しますが、
ここではアイヌ語がオーストロネシア語族であるという第2の根拠とするために、
日本語とオーストロネシア語族との共通点に絞ってご紹介します。
下図を御覧ください。ほとんどは私が独自で見つけましたが、一部先行研究をしている人もいます。
・日本語とオーストロネシア語族における単語の共通点
このように日本語についてもアイヌ語と同じようにオーストロネシア語族の単語が見られます。
さらにアイヌ語、日本語、オーストロネシア語族の言語で共通起源と思われる単語を並べると以下の通りです。
アイヌ語 日本語 オーストロネシア語族の言語
https://www.tagalog.com/dictionary/root.php?root=tulot
これまでは系統的に異なる言語であると言われていましたが、
ここまでの比較結果からどちらもオーストロネシア語族の影響を受けているということが結論付けられます。
そのため、アイヌ語と日本語の共通点としてよく取り上げられるアイヌ語kamuyと日本語 神kamiの関係についても説明できます。
これまでは日本語の神がアイヌ語のkamuyになったとか、その逆が正しいのでは?という議論がなされていたようですが、
その議論は根拠がない間違った妄想です。
正解はどちらもオーストロネシア語族から受け継いだ単語なのです。
kamuyとkamiの本当の意味についてはおまけとして、ブログ内で考察しています。
ちなみにかつて日本で話されていたオーストロネシア語族の言語を「縄文語」と呼ぶようです。
しかし、現代の日本にはそのような言語は存在していないため、絶滅したと考えられます。
先程の単語の比較で、アイヌ語、日本語ともにオーストロネシア語族の影響が見られるとご紹介しました。
つまり、縄文語の正体はタガログ語、インドネシア語、マレー語、マオリ語に近い言語ではないでしょうか?
ここまでの内容をまとめると以下のとおりです。
- 日本語にオーストロネシア語族の影響が見られる
- アイヌ語、日本語、オーストロネシア語族で共通単語が見られる
- 縄文語は現代では絶滅したオーストロネシア語族の言語である
したがって、古代の日本でオーストロネシア語族の言語、いわゆる縄文語が使われていた可能性があり、
それがアイヌ語と日本語の元になった言語に影響を与えた可能性があります。
純粋に言語の観点から見た場合に、アイヌ人、日本人だけでなく、
オーストロネシア語族の民族である台湾先住民、フィリピン人、マレー人、インドネシア人、マオリ人、ハワイ人が
実はみんな親戚だったということを感じられるのではないでしょうか?
アイヌ語はインドヨーロッパ語族とオーストロネシア語族とのクレオール言語である
ここまで、主に単語、一部文法について比較しながら、アイヌ語はインドヨーロッパ語族とも
オーストロネシア語族とも共通点があるということをご理解いただけたでしょうか?
したがって、アイヌ語の成り立ちを考えると以下の3つのパターンが考えられます。
- インドヨーロッパ語族にオーストロネシア語族の単語を取り入れたもの
- オーストロネシア語族にインドヨーロッパ語族の単語を取り入れたもの
- インドヨーロッパ語族とオーストロネシア語族の単語・文法が混ざったもの
なお、文法だけ取り入れるというパターンは成立する可能性が低いと考えたので、検討しません。
私の調査では、3のパターンに該当するという結論になりました。
インドヨーロッパ語族とオーストロネシア語族の単語・文法が混ざった3のパターンはクレオール言語と呼ばれます。
クレオール言語とは「意思疎通ができない言語同士が接触した場合に、
単純化や融合をして、新しい母語として使われるようになったもの」を指します。
https://en.wikipedia.org/wiki/Creole_language
ここからはアイヌ語がクレオール言語という結論に至った根拠を示し、
「インドヨーロッパ語族・オーストロネシア語族クレオール言語理論」を提唱します。
単語の由来についてはすでに動画内で触れているので、
理論を提唱するための補足情報として、構文、単語の傾向、動詞の活用を見てきましょう!
◯構文の比較
アイヌ語はSOV構文、つまり基本的に日本語と同じ語順だと言われています。
もちろん、日本語とは別言語なので、否定語の位置が異なるなどの例外はあります。
・インドヨーロッパ語族トカラ語派はSOV構文
トカラ語はアイヌ語、日本語と同じ構文になります。
https://spw.uni-goettingen.de/projects/aig/doc/TOC-STR-003.pdf
https://lrc.la.utexas.edu/eieol_toc/tokol
・オーストロネシア語族タガログ語は、VSO構文
タガログ語はアイヌ語、日本語、トカラ語とは全く異なる構文です。
Kumain「食べる」 ang「(単数)」 bata「子供」 ng「を」 mangga「マンゴー」=「子供はマンゴーを食べた」
Susulatan「書く」 ko「私」 siya「彼女」 =「私は彼女に手紙を書きます」
「VSO構文またはVOS構文はほとんどの台湾諸語、全てのフィリピンの言語、一部のボルネオ語、マダガスカルの全てのオーストロネシア語族の方言、およびすべてのポリネシア諸語で見られます。
ただし、オセアニアにある言語、インドネシア、ニューギニア、ニューカレドニア、バヌアツ、ソロモン諸島、ミクロネシアのほとんどの言語はSVO構文です。」
https://en.wikipedia.org/wiki/Proto-Austronesian_language
https://en.wikipedia.org/wiki/Subject%E2%80%93object%E2%80%93verb_word_order
この ことから、アイヌ語の構文はオーストロネシア語族のものとは大きく異なることから、
トカラ語の構文を取り入れたものと考えられます。
◯動詞の活用
アイヌ語の動詞の活用は一部の動詞には単数形・複数形の2つのパターンがあります。
yuk topa hoyuppa「鹿の群れが走る」
一方、オーストロネシア語族では動詞の活用に単数形・複数形という区別がありません。
つまり、日本語と同じです。
・タガログ語の例
Umakyat sila.「彼らは登る」 Umakyat ako.「私は登る」
またインドヨーロッパ語族では基本的に動詞の現在形の活用が
(主語=単数/複数)✕(動詞=1人称/2人称/3人称)の6パターンであることが多いです。
それはトカラ語も同じです。
・トカラ語AB mäsk-「位置する、ある」
https://lrc.la.utexas.edu/eieol/tokol/40#grammar_1689
動詞の活用で単数・複数を区別していないオーストロネシア語族が
アイヌ語の元になった言語だけ突如区別するようになったとは考えにくいです。
したがって、アイヌ語の動詞の活用についてはインドヨーロッパ語族由来で、それを簡略化した可能性があります。
◯単語の比較
実は今回調査してみて、驚いたのがアイヌ語の単語の由 来がジャンルによって偏りがあることです。
・人称代名詞、家族に関する名詞
インドヨーロッパ語族だと思われる要素はほとんど見られませんでした。
一人称単数形はオーストロネシア語族だと思われるのですが、それ以外の人称代名詞については
そのどちらの語族でもない単語が見られます。アイヌ語で独自進化したか、第3の言語の可能性があります。
・移動に関する動詞
オーストロネシア語族由来が多かったです。少なくともインドヨーロッパ語族ではない語彙が多く見られます。
・上記以外の単語
インドヨーロッパ 語族由来であることが多いです。
したがって、単語については両語族が混ざっているものの、人称代名詞や家族、移動に関するものは
オーストロネシア語族の影響が強く見られました。
以上 、クレオール言語理論を提唱するための補足情報をご紹介しました。
この動画で話した内容で、私がアイヌ語の成り立ちを解明するのに必要と考えた比較結果を一覧にしました。
・インドヨーロッパ語族とアイヌ語、オーストロネシア語族とアイヌ語の比較結果
以上のことから、アイヌ語はインドヨーロッパ語族とオーストロネシア語族の単語と文法を両方持っていることから、
それらの言語から形成されたクレオール言語だと結論付けられるのです。
これは私の考えですが、アイヌ語がクレオール言語であることが、起源や成り立ちの解明を複雑にしていたと思われます。
もし単一起源の言語であれば、探せばいいだけなので、世界中の誰かがすでに発見しているのではないでしょうか?
しかし、複数起源の言語の場合は、系統の全く異なる複数の言語について熟知している必要があります。
さらに熟知しているだけでは不十分です。データや証拠を集めて、事実に基づくことで、初めて解明に至るからです。
この難題に対して、70ヵ国語勉強中のただの理系の言語オタクの私が、
一人で挑んで、世界で初めてアイヌ語の成り立ちを解明したのです。
アイヌ語の成り立ちに韓国語は無関係である
アイヌ語の成り立ちに韓国語も関係していると思っている人もいるのではないでしょうか?
これまでアイヌ語と同じように韓国語も他の言語との系統関係が見いだせない孤立した言語だと考えられてきました。
しかし、語順だけ似ている言語が、地理的に近い距離にあるため、
もしかしたらアイヌ語と韓国語は共通起源なのではないかという研究も見受けられるからです。
この動画ではアイヌ語はインドヨーロッパ語族とオーストロネシア語族とのクレオール言語だと述べました。
私の結論を言うと、アイヌ語と韓国語は全くもって無関係です。
ここに関係性があると言うなら、ミルクティーをゴリラと言うようなものです。
何故そう言えるかというと、アイヌ語と韓国語で共通起源と思われる単語が現時点では1%もなかったからです。
またアイヌ語の文法についても、韓国語の文法では説明が付かないため、
事実だけ見て判断すると、無関係と結論付けられます。
もちろん、アイヌ語が確立した後に、外来語として取り入れた単語はあるかもしれません。
では韓国語は孤立した言語なのでしょうか?いいえ、違います。その答えは南インドにあります。
そんな韓国語の成り立ちについては別の動画でご紹介したいと思います。
それをご覧頂ければ、アイヌ語と韓国語がやはり無関係であると納得しやすくなるかもしれません。
こちらも是非、お見逃しなきようお早めにチャンネル登録をお願いします。
地名と言語で分かる!インドヨーロッパ系アイヌ人の先住性
アイヌ民族や元になった先祖がどの時点から北海道周辺に定住を始めたのかが明確になっていません。
なぜなら、古代のアイヌ民族は文字を持っていない集団であり、正確な記録が残っていないためです。
そのため、遺伝子や遺跡の発掘でその謎を解き明かそうという試みがあります。
それとは全く別のアプローチ、地名と言語の観点から見ると、明確な時代は分からないものの、
どの集団が先に来たのか、どの集団が後に来たのかということについては答えを出すことができます。
この章を見ると、古代の北海道が実はヨーロッパだったということが明らかになります。
ここ まで繰り返しお伝えした通り、アイヌ語はインドヨーロッパ語族とオーストロネシア語族から形成されたクレオール言語です。
それを踏まえて、言語の観点から見た場合、現代のアイヌ民族の元になった集団は以下の3種類と考えられます。
1、インドヨーロッパ系の集団
2、オーストロネシア系の集団
3、1,2の集団がクレオールを完了した後の集団
では今度は北海道の地名を見ていきましょう!
北海道の市町村名のうち、約8割がアイヌ語に由来していると言われています。
「地名の由来別に北海道の市町村を塗り分けてみた」という図を公開されている人がいたので、こちらをご覧いただけると一目瞭然かと思います。
https://nenjin.hatenablog.com/entry/2019/02/17/204327
あくまでも私の考えですが、地名が付けられてしまうと、後で別の言語に変更することはあまりないことだと考えています。
仮に一部変更することができても、全域をほかの言語に変更するのは不可能だと思われます。
実際、現在の北海道は日本の統治下にありますが、アイヌ語の地名が8割を占めているということからも、
後で言語や文化や異なる集団が来たとしても、地名は残り続ける傾向にあるといえるのではないでしょうか?
もし 地名の法則に詳しい方がいれば、コメント頂ければ幸いです。
ちなみに海外で見られる先住民が付けたとされる地名の事例を見ると、
そこに住む民族が全く変わってもその地名は残っていることが分かります。
https://en.wikipedia.org/wiki/Etymology_of_London
https://ru.wikipedia.org/wiki/Мариуполь#Этимология_названия
https://www.tourism.net.nz/new-zealand/about-new-zealand/regions/bay-of-plenty/tauranga/history.html
https://fr.wikipedia.org/wiki/Lyon#Toponymie
https://en.wikipedia.org/wiki/Harbin
ここからも分かるように地名というのは最初に付けられてしまうと後で変更される可能性が低いと考えられます。
逆に考えれば、先に定住した民族がどんな集団だったのかは地名を見れば判断できるのです。
したがって、アイヌ語とされている地名がインドヨーロッパ語族由来なのか、オーストロネシア語族由来なのか、
またはそれらが混ざったものなのかを調べると、どんな集団が先に来たのかが分かるのです。
では実際にアイヌ語の地名を見ていきましょう!
アイヌ語の地名として、「別=ペッ(川)」や「内=ナイ(川・沢)」で終わるものが全域で見られます。
https://nenjin.hatenablog.com/entry/2019/02/17/204327
これはインドヨーロッパ語族由来の単語です。
アイヌ語の地名をトカラ語の対応する単語で解釈すると以下の通りになります。
この命名規則に従っている地名は北海道全域で見られることから、
北海道に先に定住したのはインドヨーロッパ系の集団だったと結論付けられます。
もちろん 、オーストロネシア系の言語と思われる地名もないわけではないのですが、パッと見は少ないです。
なぜ、パッと見で分かるかというと、そもそもインドヨーロッパ語族とオーストロネシア語族では語順が正反対だからです。
例えば、アイヌ語で「冷たい水の川」を意味していたとされる地名「稚内」を
アイヌ語の元になった言語に一番近いタガログ語にしてみると以下のようになります。
「アイヌ語と語順全然ちゃうやん!」と思いませんか?そうなんです。
そもそもオーストロネシア語族は基本的に後置修飾を行う文法なのです。
この特徴はマレー語やハワイ語などでも同じです。
https://ukulelelabo.com/hawaii-reverse/
一方、トカラ語は前置修飾です。
https://lrc.la.utexas.edu/eieol/tokol/10#grammar_1646
そのため、もしアイヌ語の地名がオーストロネシア語族だと仮定すると、
稚内wakka nayではなく、nay wakkaになっているのではないでしょうか?
もちろん、タガログ語は前置修飾を行うこともあるので、オーストロネシア語族由来の地名だと言えないこともないのですが、
北海道全域で使われている地名の単語はオーストロネシア語族ではなく、インドヨーロッパ語族です。
したがって、北海道に先に来た集団はインドヨーロッパ語族系の集団だったと結論付けられるのです。
言い換えれば、古代の北海道はヨーロッパ、西洋文化圏だったのです。
その後、オーストロネシア語族系の集団が来たことが同じく地名から判断できます。
なぜ なら、インドヨーロッパ語族の語順で、オーストロネシア語族の単語が使われている地名があるからです。
タガログ語pulá「赤色」+トカラ語petwe「川」
アシリベツasir-pet「新しい 川」
タガログ語sariwa「新しい、新鮮な」+トカラ語petwe「川」
このような手法で、アイヌ語と思われている地名を再度分類すると、どんな集団がどんな順番で来たのかを推測できますよね?
これまでの研究ではアイヌ民族の起源や成り立ち、どんな集団からできているのかについて、
遺伝学や考古学のアプローチで解き明かそうとしていると感じます。
地名で使われている単語の起源や語順を考慮すれば、実はすごく簡単なパズルゲームと捉えることができるのです。
まとめとチャンネル紹介
この動画では世界で初めてアイヌ語の成り立ちを事実に基づき解明した私の研究結果をお話ししました。
アイヌ語がインドヨーロッパ語族とオーストロネシア語族とのクレオール言語であるという証拠やそれに基づく理論をご紹介しました。
さらに地名と言語の観点から、アイヌ民族の元になった集団の中でも、
インドヨーロッパ語族系の集団がオーストロネシア語族系の集団よりも先に北海道に来たことを解き明かしました。
これによって、現在のアイヌ語が直面している課題を解決することができます。
- ネイティヴ話者の減少に伴い困難になった新単語(冷蔵庫、スマートフォンなど)をアイヌ語で作り出せる
- 曖昧な解釈や間違った解釈をされた単語や文法の再整理
- 元になった親戚の言語との比較でより実践的で、分かりやすい教材の制作
私はこの研究を通して、アイヌ語を学ぶことがマルチリンガルの近道であると確信しました。
なぜなら、英語のようなインドヨーロッパ語族の言語と、タガログ語のようなオーストロネシア語族との融合でできた言語だからこそ、間接的にそれらの親戚の言語を学んだことになるからです。
これ は英語をも超える世界人口の半分と部分的にコミュニケーションができる可能性を秘めています。
そんなアイヌ語を学ばないのはもったいないです。いつ学ぶの??今でしょ!
このようなアイヌ語を学ぶ価値を広めるために、これから私は成り立ちに関する理論を英語、ロシア語、日本語で論文にすることで、世界中に発信します。
今回の動画では言語の観点のみに絞って成り立ちを解明しましたが、遺伝子や民俗学、歴史の観点も取り入れて、Ver2以降ではさらに説得力のある理論の構築を目指します。
是非、私の理論を広めてください。コメント欄でも、あなたの感想や建設的なアドバイスもお待ちしています。
良かったらおまけの内容として、「Aynuアイヌの本来の意味」についてもご覧ください。
ここでYouTubeチャンネルのご紹介です。
私のチャンネルのキャッチフレーズは
「今日からあなたもマルチリンガル」です。
70ヶ国語勉強中の私が理系発想の視点と語学ミニマリストの観点で、
数カ国語を同時に習得できるコツや考え方をご紹介しています。
①丸暗記はしない勉強法
(多言語学習中ならでは独自メソッド)
②曖昧さは採用しない勉強法
(数値でもって証明する独自理論)
(2)語学ミニマリストの観点
①留学や通信講座は利用しない
②分厚い辞書や書籍は買わない
そして私の夢は次の2つです。
ということを全人類の常識にすること、
「誰もがマルチリンガルになれる」
そんな場を作ることです。
もしあなたがマルチリンガルになるための手法をもっと知りたいと思ったら、
または私の夢に賛同いただけたら、チャンネル登録・高評価をお願いします。
あなたからのリクエストもお待ちしています!
おまけ:アイヌAynuの本来の意味
そもそもアイヌとはどういう意味なのでしょうか?
アイヌ語の成り立ちが分かったことで、アイヌの本当の意味が説明できます。
私の理論ではアイヌ語がインドヨーロッパ語族とオーストロネシア語族から構成されている言語だと結論付けました。
したがって、アイヌという名称もそのどちらかの言語に由来すると考えることができます。
現代のアイヌ語の表記ではAYNUという綴りになっていますが、これは後で付けられた綴りなのです。
これに一番近い発音を持つ単語、AINUで調べました。
またアイヌAINU以外にもアイノAINOという呼び方もされていた可能性があるということで、それも含めて調査しました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%8C
アイヌの由来となった単語のパターンは以下の6種類が考えられます。
これがインドヨーロッパ語族またはオーストロネシア語族の単語で存在するのかを調査しました。
結果、パターン1に当てはまることが分かりました。
ではまず、アイヌ語ではAynuやその派生語はどういったニュアンスで使われているのかを確認しましょう。
Aynu の意味として、以下の4つがあるとされています。
- 人間(神や動物などに対して)
- 男(menoko メノコ《女》に対して)
- アイヌ(民族名、 sísam シサム《和人》など に対して)
- 父(他人からその人の父を指す)
全て「人」に関係する意味だと分かります。
一方で、同じAynuを含む関連語では「人」とは全く異なる意味を持つ単語が存在します。
aynupata [aynu pa ta]「いいなあ,羨ましいなあ,私もあのようになりたいなあ(感嘆の言葉)」
aynukor [aynu-kor (立派な)人間/男・を持つ]「…を尊敬/尊重する、 …に敬い従う」
したがって、Aynuには「人」というニュアンス以外に「羨ましい、立派な、尊敬する」という意味が存在することが分かります。
ここからはインドヨーロッパ語族かオーストロネシア語族に同じ発音やニュアンスを持つ単語が存在するかを調べていきます。
それ以外の不可能なパターンについては聞いても面白くないので、ブログでご紹介しておきます。
――以下ブログだけ――
パターン2
a-inu、a-ino a-という接頭辞がついたもの
◯a-の部分
まずa-という接頭辞で絞った場合、世界的に見てインドヨーロッパ語族だとギリシャ語だけになるのですが、
意味は否定語です。そのあとに否定的な意味の単語が来れば、意味として成り立つかもしれません。
https://en.wiktionary.org/wiki/a-
オーストロネシア語族の場合は、aという冠詞はあるものの、起源は冠詞のkaやnaの省略形のようです。
https://www.trussel2.com/acd/acd-hw_a1.htm
https://maoridictionary.co.nz/search?idiom=&phrase=&proverb=&loan=&histLoanWords=&keywords=a
◯inuの部分
inuはハワイ語、タヒチ語、マオリ語で「飲む」という意味です。
タガログ語inom「飲む」と同語源で、日本語の飲むnomuとも同起源です。
https://en.wiktionary.org/wiki/inu
冠詞a+動詞inuでは文法的に成立できません。また意味的にもAynuとは異なります。
また-inoという語尾でラテン語系の言語で「職業や人」を表すことができますが、
ギリシャ語の接頭辞のa-が否定語で、それだけでは単語として成立できません。
https://en.wiktionary.org/wiki/-ino
パターン3
ai-nu、ai-no aiとnu/noは別のもの
候補になる単語は次の2つです。
トカラ語B:ai-「与える」
https://en.wiktionary.org/wiki/ai-
ロマニー語:-no「~する人」
https://en.wiktionary.org/wiki/-nu
https://en.wiktionary.org/wiki/-no
トカラ語Bにロマニー語のような-noがあるのか調査が必要です。
もし存在するなら「与える人」という意味になる可能性があります。
しかし、「与える人」=アイヌ語aynuの関連語である「羨ましい、尊敬できる」というニュアンスが導き出せるのかやや説得力に欠けます。
パターン4
ain-u、ain-o -u/-oという接尾辞がついたもの
◯ainの部分
ainはアレマンドイツ語で「一つ」、スコットランド語で「自分の」という単語になります。
https://en.wiktionary.org/wiki/ain
◯-uと-oの部分
u-という接尾辞があるかを調べると、インドヨーロッパ語族では名詞の格変化の際に使われるものになります。
マオリ語だと-uで「あなたの」という意味ですが、これはマレー語などにある-ku「あなたの」の省略形と考えられます。
https://en.wiktionary.org/wiki/-u
-oという語尾はインドヨーロッパ語族で格変化した形として存在します。
https://en.wiktionary.org/wiki/-o
仮にainが主格(「~は)の形)だとして、「~を、~に、~へ、~の」と格変化したものだとすると、
ainoという単語が主格として使われているという事実に反する、文法的に破綻するので、成立できません。
パターン5
a-in-u、a-in-o a-という接頭辞、inという語幹、-u/-oという接尾辞
inというのはインドヨーロッパ語族で前置詞「~の中に」という意味です。
この場合、接頭辞a-と接尾辞-uが意味をなさず、説明できないので、あり得ないパターンです。
https://en.wiktionary.org/wiki/in
パターン6
a-i-n-u、a-i-n-o 全部異なる単語
ほかのパターン2、4、5のように接頭辞、接尾辞の問題で成立できない。
ここまでであきらかに成立できないパターンをご紹介しました。
パターン 1
ainu、aino 一単語である
そもそも ainuで一単語ではないかということで、まずは「人間」という意味で調査しました。
◯同じ意味で調べる
inuという並びで、かつ「人間」という意味を持つ単語で、
最も近いものはエスキモー・アレウト語族イヌクティトゥット語 inuk「人」です。
https://en.wiktionary.org/wiki/person#Translations
もちろん、インドヨーロッパ語族でも、オーストロネシア語族でもありません。
さらにエスキモーとアイヌで文化的に影響を与えるほどの交流があったという話は聞いたことがありませんので、却下です。
――以上ブログだけ――
◯綴りで調べる
パターン3を調べた際に正解にたどり着きました。
まず、トカラ語B ai-「与える」の同起源として考えられている単語が
古代ギリシャ語αἴνῠμαι (aínūmai)「取る、成功する、つかむ、制する、を把握する」 です。
https://en.wiktionary.org/wiki/%CE%B1%E1%BC%B4%CE%BD%CF%85%CE%BC%CE%B1%CE%B9
ギリシャ語にアイヌの謎を解く鍵があるように感じたので、
ギリシャ語の辞書サイトで、αἴνῠ (aínū)で検索したところ、類似する発音の単語にαἶνος(aînos)「称賛」が見つかりました。
https://glosbe.com/el/ja/%CE%B1%CE%AF%CE%BD%CE%BF
https://en.wiktionary.org/wiki/%CE%B1%E1%BC%B6%CE%BD%CE%BF%CF%82#Ancient_Greek
ギリシャ語αινώ(ainó)は「称賛する、ほめる、(…を)称賛する、(歌などで)賛美する、たたえる」という意味です。
これと、アイヌ語でAynuを含む関連語と比較します。
aynupata [aynu pa ta]「いいなあ,羨ましいなあ,私もあのようになりたいなあ(感嘆の言葉)」
aynukor「…を尊敬/尊重する、 …に敬い従う」
Aynuの派生語である「感心する、羨ましい、尊敬する、敬う」というニュアンスと
ギリシャ語αινώ(ainó)「称賛する、ほめる、(…を)称賛する、(歌などで)賛美する、たたえる」は
非常に整合性が取れる対応になっていることが分かるのではないでしょうか?
そこから、aynukor「…を尊敬/尊重する、 …に敬い従う」は、
その成り立ちが[aynu-kor (立派な)人間/男・を持つ]ではないかと考えられているようですが、この解釈が間違っていると分かります。
そもそも「人を持つ」という意味から派生して、「尊敬する」という意味になるのはやや無理があるように感じるからです。
一方、ギリシャ語αινώ(ainó)と同起源で、「称賛する」という意味から派生して、「尊敬する」という意味に変化したのであれば、違和感なく、むしろ自然な解釈になると考えています。
実際、類義語の検索サイトで「称賛」という単語を調べると、「尊敬」という単語が含まれていることが分かります。
https://renso-ruigo.com/word/%E7%A7%B0%E8%B3%9B
さらにAYNUの対義語として、WENPE「悪い者」というのがあります。
AINUは「人間」という意味を持っているものの、それにWENPEは含みません。
例えば、泥棒をした人は人間ではない。よって、AINUではないということなります。
https://ainugo.nam.go.jp/search/word?word=utari&typeDict=on&dictCd[]=田村&dictCd[]=萱野&dictCd[]=知里&typeCont=on&typeText=on&person=&matCd=&minLineCd=&maxLineCd=
まとめるとAynという単語は
- インドヨーロッパ語族由来である。
特にギリシャ語αινώ(ainó)「称賛する」と起源が同じ可能性がある - 本来の意味は「単なる人間」ではなく、
「称賛された人」、「褒め称えられた人」、「成功した人」という意味である
なお現代ではアイヌ民族はアイヌという呼称ではなく、同胞という意味を持つ、utariウタリという呼称を使う傾向があるようです。
私の調査ではutariウタリはT,母音、Rという並び、さらに「同胞」という意味から、オーストロネシア語族の*tuRut「連れる」、つまり、日本語の連れtsure
タガログ語utol「兄弟姉妹、仲間,相棒」と同起源であると考えています
インドヨーロッパ語族由来のAynuとオーストロネシア語族由来のUtariが併用されているのもクレオール言語の証のようですね。
アイヌの本来の意味はインドヨーロッパ語族由来の「称賛された人」ということで、おまけは以上になります。
ちなみにオーストロネシア語族由来の単語「カムイ kamuyと神 kamiの語源」については
動画概要欄に記載しているブログで考察しています。興味のある人は御覧ください。
今回は「アイヌ語はどこから来たのか?」をテーマにご紹介しました。
これまでのアイヌやアイヌ語の研究は主に日本やアイヌの過去資料をベースに行っていたように感じます。
しかし、そこに正解はありません。広い視野で海外も含めて見たときに初めて、正解が見つかるのです。
これからも世界中のありとあらゆる言語を学び、誰もがマルチリンガルになれる場を作ります。
次回の動画も是非楽しみにして下さい!理系の言語オタク、日向でした。さようなら!Suy unukar=an ro!
おまけ:オーストロネシア語族 カムイ kamuyと神 kamiの語源の考察
今度は言語学者や言語マニアが気になるkamuyとkamiの関係についてお話しましょう。
日本語の「神」はシンプルに神という意味なのに対し、kamuyは神という意味以外に、やや生きとし生けるものというニュアンスが含まれます。そのため、日本語の神はアイヌ語のkamuyが語源なのではないか?という主張がありました。
しかし、これまでの学説では決定的な証拠がないため、それは事実に基づかない単なる妄想であると断言できます。
したがって、日本語とアイヌ語を比べても、一生答えが出てくることはありません。
この疑問を解くには、すでにご紹介したように日本語、アイヌ語どちらの言語にも影響を与えているオーストロネシア語族について理解する必要があります。
つまり、本当の答えは日本ではなく、海外を見ろ!ということだったんです。
そして私がたどり着いた結論は、kamiとkamuyの本来の意味は「最高の主人」ではないかという結論です。
ではなぜこの結論に至ったのかあなたと一緒に見えていきましょう
まず英語版WiktionaryでGodと調べると、日本語のkamiに近いものはありません。
https://en.wiktionary.org/wiki/God#Translations
https://en.wiktionary.org/wiki/god/translations#Noun
https://www.thesaurus.com/browse/god
https://en.wiktionary.org/wiki/lord#Translations
https://en.wiktionary.org/wiki/master#Translations
もちろん、Wiktionaryではオーストロネシア語族の言語はやや不足している点があるので、単に載っていないだけかもしれません。
次は日本語のkamiとアイヌ語のkamuyを比べて、この単語がどのように構成されているのか考えましょう。
日本語Wiktionary「かみ」という発音で調べると、「神様」、「上」、「髪の毛」、「噛みつく」という意味があることがわかります。この中でもジャンルに分けると、「上の」というニュアンスが共通しているのが多くを占めていることが分かります。
https://ja.wiktionary.org/wiki/かみ#翻訳:神
次に英語版Wiktionaryで「神」を調べると、kami以外にも、神という漢字だけでmiという単語が出てきます。
例を見ると、「神輿」mikoshiという単語があります。
https://en.wiktionary.org/wiki/%E7%A5%9E#Japanese
ここからkamiという単語の語幹、本当に「神」というのを表している部分はmiだということが分かります。
そして、ka-というのは接頭辞であるという可能性が考えられます。
この接頭辞と語幹の関係はオーストロネシア語族タガログ語を参考にすると、理解ができます。
そもそもka-という接頭辞はオーストロネシア語族で共通して用いられるということも重要です。
https://en.wiktionary.org/wiki/ka-
例えば、ka-
ka- + mukha (“face”) → kamukha (“someone/something similar; look-alike”)
ka- + away (“fight”) → kaaway (“enemy”)
というようにkaという接頭辞が動詞の語幹付くことで、名詞化されるという特徴があるからです。
ほかにも人名などにKaが先頭に付くことで、「~さん」というような敬称になる場合もあるからです。
https://en.wiktionary.org/wiki/Ka#Tagalog
このことから日本語のkamiという単語は接頭辞ka、もしくは敬称のkaと、神のような意味を持つmiという語幹に分けることができます。
日本語とオーストロネシア語族の比較で分かるのはここまでで限界なので、
今度は同じくオーストロネシア語族の単語を残しているアイヌ語を参考にしながら考えていきましょう。
実はアイヌ語ではkaという単語には「上」という意味があります。
ka:(…の)上(接触した上)、 …の見える側。英訳もtop ofとなっています。
先程日本語かみkamiを調べたときに、「上」という意味があるということが分かっています。
したがって、日本語の「上」を意味するkami、アイヌ語の「の上」を意味するka
そしてオーストロネシア語族でのkaという接頭辞や敬称の存在を踏まえると、
kamiやkamuiのkaというのは本来、「上」という意味を表す単語だったのではないかと結論付けられます。
それを元にオーストロネシア語族の語源のサイトを調べて見ました。
すると、それを裏付けるように、オーストロネシア語族ではka-というのが最上級を意味する単語であるということが分かりました。
品質の度合いが高い、最上級、つまり「最高の」という意味で用いる単語だということが分かりました。
https://www.trussel2.com/acd/acd-s_k.htm#31590
もちろん、kaという接頭辞自体はオーストロネシア語族には別の用法も存在するのですが、
日本語、アイヌ語の意味を見た場合、一番近いものは「最高の」を意味するkaではないかと結論付けられるのではないでしょうか?
この内容で根拠にしているデータや単語についても、全て参考サイトをブログ内に貼っておきますので、自分で確認したいという方はぜひとも御覧ください。もし別のご意見があれば、コメントでいただければ幸いです。
さて、ここまでの内容で日本語のkamiとアイヌ語のkamuyが接頭辞ka-と語幹で分かれるというところまでは解明しました。そこから「最高神」のようなニュアンスなのではないか?ということは分かりました。
しかし、肝心の語幹miやmuyの部分が一体どういう意味なのかまだ分かっていません。
ただ手がかりとして、日本語もアイヌ語も基本は元になったオーストロネシア語族の言語、特にタガログ語そのままであるという傾向が見えてきました。
つまり、miやmuyのような単語で神に繋がる単語を探せばよいと考えてもよいのではないでしょうか?
今後は逆のパターンでオーストロネシア語族の語源から逆に近いものを探せば、よいのではないかと考えることができます。
「神様」という意味で、miのような単語がないか調べた結果、ずばりこれというものは見つかりませんでした。
可能性として考えられるのは元の単語は「神」ではなく、類義語ではないかということです。
それではうまくいかなかったので、一度戻って、英語版のWiktionaryで日本語の「み」という発音で調べてみましょう。
https://en.wiktionary.org/wiki/%E3%81%BF
多くは中国語由来ですが、先程出た神輿の神、ほかにも体を表す身、植物の実、御仏の御です。
この中で今回の語源の調査で関係しそうなのは神輿の神miと御仏の御miだと考えられます。
しかし、日本語を見ても、これ以上は進まないようなので、アイヌ語を確認してみましょう。
アイヌ語でmuyという単語で調べると、束の語幹、箕という意味だと分かります。ただあまり関係がないように感じますね。
次にアイヌ語でmiという単語を調べると、「服を着る」という動詞が見つかります。
しかし、これはインドヨーロッパ語族の単語と考えられます。フランス語のmettreをご確認ください。
人に関係する単語で絞ると、míci「父、お父さん」、mitpo「孫」、mippo「孫」という単語が見つかります。
ここまでの情報を整理し、関係していると思われる単語を並べると以下のとおりです。
アイヌ語ka-muy「カムイ」、mitpo・mippo「孫」、míci「父、お父さん」
日本語もアイヌ語もどちらもオーストロネシア語族の影響を受けているとすれば、
この意味でオーストロネシア語族の語源を探すと答えが見つかるのではないでしょうか?
すでに「神」という単語ではオーストロネシア語族の語源を見つからなかったので、
「孫」という単語で調べると、一番近いものが見つかりました。
https://www.trussel2.com/acd/acd-s_e1.htm#26098
「いやいや、神様って意味やのになんで見つからへんかってん!」と思うかもしれませんが、
英語で考えたときにニュアンスがGod「神」ではなく、Lord「主」だったからです。
Malay:empu「主人」
Old Javanese:(e)mpu「著名人、主人、神、主君」
Javanese:empu「学者、詩人、優れた芸術家、熟練した職人のための古代の称号」
そこの派生語がアイヌ語のmippo「孫」も同じ派生語であると説明することが可能なのではないでしょうか?
一方、神kamiやkamuyとはやや発音が遠いように感じます。
英語版Wiktionaryでこの語幹*empuについて検索すると、次の単語が見つかりました。
https://en.wiktionary.org/wiki/moyang
マレー語perempuan(per- + empu + -an)「女性」
https://en.wiktionary.org/w/index.php?search=*empu&title=Special%3ASearch&go=Go&ns0=1
語幹はempuだと遠いく感じるのですが、実際にはmoだけでも意味を為せるということが分かるのではないでしょうか?
「このままではややこじつけ感があるのでは?」と個人的に感じています。
ただ注目すべきなのが、empuという語幹がここまで紹介した日本語の単語でぴったり当てはまることです。
それが「御仏のmi」や「御身のon-」です。「制御」の「御」という漢字はgoやgyoは中国語式の読みです。
一方、「御仏のmi」や「御身のon-」は日本語式の訓読みです。
https://en.wiktionary.org/wiki/%E5%BE%A1#Japanese
しかし、なぜ、mi-と、on-という発音にこの漢字が当てられているのでしょうか?
それはこの2つが同起源の単語だからです。そして、その語源がオーストロネシア語族のempuなのです。
だとすると、empuのMの発音が残ったものが「御仏」のMI-であり、EMの発音が変化したものが「御身」のONと考えることができるのではないでしょうか?
オーストロネシア語族のバリエーションとしてもempu以外にもimpuやumpuがあるので、その派生形である可能性が高いと思われます。
さらにこの語源は「神、主人」という意味を持つので、神輿のmiに神という漢字を当てた可能性があると考えます。
日本語のkamiとアイヌ語kamuyがオーストロネシア語族だと仮定し、
その名残が現在の言語に残っていると仮定すると、本来の意味が分かります。
Kamiのkaは「最高の」という接頭辞であると分かりました。
そして、empu「両親、孫、先祖、神、主人、所有者」」が短縮し日本語ではmiに、
アイヌ語ではmpuのようになり、現在のmuyになったのではないでしょうか?
つまり、kamiやkamuyの本来の意味は「最高の主人、最高神、最高の先祖、最高の両親、最高の孫」というのが
本来の意味だと結論付けられます。
もちろん、私は言語学者でも日本語学者でもありませんので、発音の変化が許容できるものなのかそういった判断はできません。
しかしながら、外国語と比べた場合、日本語とアイヌ語はぱっと見では分かりにくいものの、オーストロネシア語族の名残が随所に残っていると分かります。
もし別のアプローチや仮説を立てた人がいれば、ぜひともコメントいただければと思います。
こんな話を聞いたことがあるというものでも構いません!私と一緒にこの謎を解明しましょう!